>  今週のトピックス >  No.518
厳しさを増す労働者の就業実態
  有給休暇の付与日数は増えているが、実際に取得した日数は年々減少している。一方、年俸制を実施している企業では、更新時の管理職の年俸額が減少したとする割合が4割を超えている。
  このような調査結果が10月28日発表の厚生労働省「平成14年就労条件総合調査の概況」で判明した。この調査は、日本の民間企業における労働条件に関する現状を把握するため実施されている。主たる調査項目は主要産業における企業の賃金、労働時間、労働費用、福祉施設、退職給付制度などで、従業員30人以上の産業・規模別に抽出した5,300企業が対象となっている。
  相続税の納付は、金銭による納付を原則としているが、財産課税という性格や税額が高額(最高税率70%)になることなどの理由から、金銭による納付が延納を含めても困難な場合には、相続財産による物納が認められているというのは一般的に知られている。
  1. 完全週休2日制の企業は33.7%
    週休制については「何らかの週休制」を実施している企業数割合は90.3%に及んでいるが、「完全週休2日制」を採用しているのは33.7%にすぎず、前回調査(平成10年)より0.1%増に止まっている。また、1年間に企業が付与した年次有給休暇日数は平均18.1日だが、実際に労働者が取得した日数は8.8日で、平成9年以降年々減少している【表1】。

  2. 管理職の年俸額10%以上カットした企業は8.9%
    年俸制を実施している企業は前回調査より0.6%減っているが、導入を予定、または検討している企業は10.8%となっている。実施している企業のうち、「対象労働者は管理職」とする企業は87.2%を占めており、管理職にとっては実績が年俸に直接反映する厳しい時代となっている。また、直近の更新時において年俸額が減少したとする企業で管理職の場合、10%以上の大幅カットは8.9%を占めている【表2】。

  3. 労働費用の総額は10.4%の減
    労働費用(使用者が労働者を雇用することによって生じる一切の企業負担分費用で「現金給与額」のほか、「退職金の費用」、「法定福利費」、「法定外福利費」など)の総額は常用労働者1人1カ月平均44万9,699円で前回より10.4%減となっており、運輸・通信業、卸売・小売業、飲食店、サービス業で特に大きく減少している。
  以上のように、労働者の就業状況はリストラなどの人員減で休暇がなかなか取れず、給与形態も年功序列制から年俸制に移行しつつあり、収入は相対的にダウンという厳しい図式がみえる。
【表1】 労働者1人平均年次有給休暇の取得状況
付与日数1)
取得日数
取得率2)
17.4日
9.4日
53.8%
17.5日
9.1日
51.8%
17.8日
9.0日
50.5%
18.0日
8.9日
49.5%
18.1日
8.8日
48.4%
(注)
1) 「付与日数」には、繰越日数を含まない。
2) 「取得率」は、取得資格のある労働者の取得日数計/付与日数計×100(%)である。
3) 調査期日は、平成11年度以前は12月末日現在、12年度より1月1日現在である。
【表2】 年俸額の最大増加(減少)労働者の増加(減少)率階級別企業数割合
2002.11.12
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