>  今週のトピックス >  No.528
決算を終え、魅力が増すJ‐REIT
  低迷が続く株式市場、超低金利の預貯金、そして不安定な為替相場など、個人の資産運用環境は、どれも厳しいと言わざるをえない。しかし、そのような資産運用環境の中、11月に入り明るいニュースが一つ入ってきた。それは、東京証券取引所に上場している不動産投資信託いわゆるJ‐REITの決算発表が行われ、好調な内容となっていることである。現在上場されているJ‐REIT6銘柄の価格や分配実績をまとめたのが以下の(表1)(表2)である。
(表1)
  日本ビルファンド ジャパンリアル
エステイト
日本リテール
ファンド
オリックス不動産
投資法人
日本プライム
リアルティ
プレミア
投資不動産区分 オフィスビル
特化型
オフィスビル
特化型
商業施設
特化型
オフィス・ホテル・
商業施設など
オフィスビル・
商業施設
オフィスビル・
住居
上場時初値 625,000円 535,000円 450,000円 500,000円 200,000円 480,000円
14年11月20日
の終値
593,000円 546,000円 506,000円 467,000円 230,000円 460,000円

(表2)
  日本ビルファンド ジャパンリアルエステイト
1回目分配金 13年3月26日〜13年12月31日 19,026円 13年5月11日〜14年3月31日 14,983円
2回目分配金 14年1月1日〜14年6月30日 16,003円 14年4月1日〜14年9月30日 12,853円
3回目分配金 14年7月1日〜14年12月31日 15,220円* 14年10月1日〜15年3月31日 14,300円*
  日本リテールファンド オリックス不動産投資法人
1回目分配金 14年3月31日〜14年8月31日 13,252円 13年9月10日〜14年8月31日 22,472円
2回目分配金 14年9月1日〜15年2月28日 14,007円* 14年9月1日〜15年2月28日 14,024円*
  日本プライムリアルティ プレミア
1回目分配金 13年9月14日〜14年6月30日 2,545円 14年5月2日〜15年4月30日 19,094円*
2回目分配金 14年7月1日〜14年12月31日 6,500円*    
  (表2)で分かるように、J‐REITの魅力は実績分配率の高さであろう。実績分配率はどれも5〜6%台であり、2002年11月20日の終値で投資をしたと仮定した場合の年換算予想分配率もこれまで同様やはり5%〜6%台と予想される。つまり今までの決算内容から判断すれば、きわめて高分配率の金融商品といえる。これは、現在の超低金利下における預貯金金利と比較すれば、数十倍、数百倍の率といえる。
  また、当初のJ‐REITの投資先不動産は、オフィスビルに特化していた。しかし、最近上場されているJ‐REITは、郊外型ショッピングモールなどの商業施設、ホテル、住居など幅広い不動産へ投資されている。これによりJ‐REITの弱含み要素であったオフィスビル供給過剰の「2003年問題」もかなり回避できるものが登場している。
  日本プライムリアルティが20万円台(従来の商品は、50万円前後が主流)から投資可能なものを発売しており、運用必要資金面でも身近になったといえる。20万円前後であれば、個人のボーナスの運用という面でも利用しやすい。
また商品性の面においても、毎月分配型タイプの不動産投資信託などが発売され、高齢者などが年金として受け取ることができるなど、かなり魅力的なものが登場している。
以上のように市場のニーズを的確に捉え、日々進化しているからこそ、J‐REIT上場6銘柄中4銘柄が、11月に年初来高値を更新していることも納得できる事実といえる。また、株式市場や為替市場、そして低金利政策が今後続くようであれば、個人マネーが一層J−REITへ流入する可能性は十分ありうる。
各J‐REITのホームページでは、詳しい投資物件や決算状況、運用方針についてのディスクローズ資料が入手できる。株式投資信託の目論見書・運用報告書に加えて分かりやすく工夫されているので、参考にしてはどうだろうか。
2002.12.03
前のページにもどる
ページトップへ