> 今週のトピックス > No.530 |
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産業再生の基本指針骨子で何が期待できるのか | ||||||||
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![]() 銀行の不良債権処理を、経済の混乱と企業の倒産の増加、失業者の急増なしに行うためには、いかに不振企業を再生するかにかかっている。また、痛みを伴う不良債権の処理では、リストラや倒産による雇用の問題や雇用保険の問題が解決されなければならない。そのような中で、小泉首相を本部長とする政府の産業再生・雇用対策戦略本部が、このほど2回目の会合を開き、平沼赳夫経済産業相から「企業・産業再生に関する基本指針」の骨子案が報告された。
その主な内容は次の通りである。
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![]() 以上の4項目で構成されているが、まず「過剰債務企業」に対する対応については、産業再生機構や産業再生法、さらに企業の自助努力を促す「早期事業再生ガイドライン」を活用する方針が明確にされた。この点については、今回報告された骨子を今後具体化して、年内に決定することになっている。不良債権処理では最も影響を受けやすい、日本企業の大半を占める中小企業をいかにして倒産の急増から守るか、反面でダメな企業をどのように処理するのか、これらが実効あるものになるかどうかが問われるところである。
![]() この問題に対して谷垣禎一産業再生担当相は、産業再生機構が債権を買い取る対象について、「企業の大小は問わない」と明言した。また、特に「中小企業がその対象になる」ことも見解として示された。反面で、産業再生機構が「不振企業で経営内容の極端に悪いものの安易な延命につながるのは好ましくはないので、その結果として経済の悪化をもたらす過剰供給の問題を助長させたりしないようにしたい」との方針も明らかにされた。これは再生の手法が「産業再編により行われる」との姿勢を鮮明にしたものである。産業再生については、そのスピードと効果が望まれるところであるが、機構の活動は「短期集中的」なものになることも明らかにされた。
![]() それにより、国民が受ける痛みを最小限にするとの意向であるが、問題企業と再生可能企業の判断はどこで決めるのか、難しいな問題である。短期集中はよいが、その課程で間違った判断がされて、生き残るべき企業を死に追いやらないようにしなければならない。また、銀行の経営に対する姿勢が問われる一方で、銀行に頼らなければならない資金難の企業への対応がどうなるのかは実際の作業を見なければわからないことである。
![]() (経済評論家 石井 勝利)
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2002.12.03 |
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