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「身近な司法」への第一歩を踏み出した司法制度改革
〜司法制度改革関連法案が成立〜
  11月29日、今後の新たな法曹人材育成の柱となる「法科大学院」の設置や、これに伴う新司法試験の導入等を定めた関連法案が参議院本会議で可決成立した。
  わが国では、これまで、弁護士・裁判官などの法曹人口が諸外国に比べ圧倒的に少ないことや裁判に時間がかかることなど、司法制度の「使い勝手の悪さ」が指摘されてきた。
  こうした中、「国民が身近に利用することができ、社会の法的ニーズに的確にこたえることができる司法制度」を目指し、平成11年7月、内閣に「司法制度改革審議会」が設置されるなど、制度改革へ向けた議論が進められてきた。
  今回の法案は、平成13年6月に提出された同審議会の最終意見の大きな柱である、法曹の「人的基盤の拡充」へ向けた第一歩といえよう。今回の法案成立により、法曹人口の量的な拡大もさることながら、法曹育成システムも従来の試験中心から法科大学院を中心としたシステムへ大きく変貌することとなる。
<法案のポイント>
  1. 法科大学院開講  2004年4月〜
  2. ⇒修習期間は2年(法学部卒業者)もしくは3年(法学部卒業者以外)
  3. 新司法試験開始  2006年5月〜
  4. ⇒原則として、法科大学院修了者に受験資格が与えられる。ただし、法科大学院修了者以外の者に司法試験の受験資格を認める「司法試験予備試験」も導入。また、受験回数や期間についての制限も設ける。
  5. 現行の司法試験も2011年まで並存>
  法案の大きな柱である法科大学院については、実務教育を重視するという理念を掲げてはいるものの、一方で、一部にその担い手不足が指摘されるなど、必ずしも順風満帆なスタートが切れるかどうかは依然予断を許さないともいえる。とはいえ、国民にとって身近な司法制度を目指す上での大きな第一歩を踏み出したものとして、今後の動向が注目される。
2002.12.10
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