>  今週のトピックス >  No.539
日銀短観から垣間見えた景気先行きの不透明感
  12月13日、日本銀行は12月の企業短期経済観測調査を発表した。通称「日銀短観」と呼ばれる同調査は、全国のおよそ9000社を対象とした四半期ごとのアンケート調査で、企業規模別・業種別に集計されている。調査から1カ月程度で発表される速報性やその項目の豊富さなどから、市場関係者の間で最も注目される経済指標の一つとなっている。
  各項目のうち、最も注目を集める業況判断D.I.(業況が「良い」と回答した企業の割合(%)から、「悪い」と回答した企業の割合(%)を差し引いたもの)は、大企業製造業で−9(9月調査比+5ポイント)と、3期連続の改善となったものの、3カ月後の予測については、−10と小幅ながら悪化に転じた。一方、大企業非製造業では、業況判断D.I.が−16(9月調査比−3ポイント)と4期ぶりの悪化となった。
  こうした結果は、年初から緩やかながら続いてきた景気の回復傾向が足踏み状態になっていることを示唆している。 日銀短観の業況判断D.I.の長期的な動き(下図参照)を見ると、バブル崩壊後、今回の回復局面より以前に2度の局面があったものの、大企業製造業などでわずかにプラスになっているのを除き、ほとんど「水面下」でピークアウトしていることがわかる。これはバブル崩壊後の景気回復力がいかに弱いものであったかを象徴しているが、バブル崩壊後3度目となる今回の景気回復局面も同じような道をたどることになるのだろうか?残念ながら、その可能性が強くなってきたと言わざるをえないが、唯一の明るい材料として、米国では大統領選を控えたブッシュ政権が、「大規模減税を含む積極的な景気対策を実施する見通し」と伝えられていることが挙げられる。今回の景気回復面局は、内需が低迷する中で輸出主導の色彩が強かっただけに、今後の米国経済の動向が注目されるのである。
2002.12.24
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