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金融機関に本人確認が義務化される
〜顧客へのケアを十分に〜
  平成13年9月に起こった米国同時多発テロ事件を受け、「テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約」が提起され、わが国も同年10月に署名している。この条約の中で金融機関による顧客の本人確認の措置についても要請されている。また、テロへの資金供与を断つ以外にも、近年の麻薬や銃器などによる犯罪の増加から、マネー・ローンダリング対策が国際的に緊急の課題となっている。
  このような背景を受けて、わが国で1月6日に「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律(『本人確認法』)」が施行された。いよいよ生命保険会社も法律に基づく本人確認がスタートすることになったのである。
  本人確認とは、金融機関が公的証明書により顧客の本人特定事項(顧客が個人である場合は氏名、住居および生年月日、顧客が法人である場合は当該法人の名称および本店または主たる事務所の所在地)を確認することである。
  ある生命保険会社の場合では、
(1)
生命保険契約の締結、契約者貸付、契約者変更、満期保険金・年金・解約返戻金支払などの取引発生時
(2)
現金等による200万円を超える取引時
(3)
仮名取引やなりすましの疑いがある場合
などに本人確認を求めるようである。
  具体的には、以下のような手順で実行されるようだが、また必要書類が増え顧客から“面倒だ”という不平の声が聞こえてきそうである。
本人確認の方法
1.対象金融機関
 
銀行、証券、生損保、郵便局など、金融機関全般が対象
 
2.本人確認の方法
 
(1)顧客が個人の場合
 
  • 窓口で以下の公的証明書の原本の提示を受ける方法
    運転免許証、各種健康保険証、年金手帳、パスポート、外国人登録証明書、取引に 使用する印鑑の印鑑登録証明書など。
  • 窓口で以下の公的証明書の原本の提示を受けるとともに、顧客の住居に取引関連書類(キャシュカードなど)を書留郵便などで返送する方法。
    住民票の写し、戸籍の謄本、抄本、取引に使用する印鑑以外の印鑑登録証明書、外国人登録原票の写しなど。
 
(2)顧客が法人の場合
 
  • 法人と実際の取引担当者双方の本人確認が必要。法人顧客の本人確認は、登記簿謄本、抄本や印鑑登録証明書などの提示又は送付を受けることにより行う。
 
マネー・ローンダリング(Money Laundering:資金洗浄)
 
違法な起源の収益の源泉を隠すことで、犯罪などで得た「汚れた資金」を正当な取引で得た「きれいな資金」に見せかけること。
2003.01.14
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