>  今週のトピックス >  No.554
消費者マインドの冷え込みで景気の悪化が鮮明に!
  景気動向を示す重要な指標である個人消費は、リストラや倒産、賃下げ、失業の悪化の影響が個人消費にまともに出ることから日米ともに注目されている。
  そこで注目したいのが、内閣府が15日に発表した平成14年12月の東京都の消費動向調査である。これによると、消費者の購買意欲を示す「消費者態度指数」は40.1で、前月比(11月)で2.1ポイントも悪化、事態の厳しさを改めて浮き彫りにしたことになる。
  この消費者態度指数は5項目で構成されており、どの面での状況が厳しいかが分かるが、今回の発表では、暮らし向き、収入の増え方、雇用環境の3つの見通しが大幅に悪化した。
  最近の企業の動向や賃金をめぐる環境を見ても容易に想像でき、この指数の悪化幅は昨年2月(2.5ポイント悪化)以来の水準で、庶民の台所の厳しさが長期化していることを如実に物語っている。そのために、この数字の判断について内閣府は「消費者マインドは悪化傾向」と判断を下方修正したが、景気動向の先行きが読めない状態である。
  問題は2003年がどのようになるかだが、さしたる景気対策や雇用対策が打たれたわけではなく、株価や不動産価格もあいかわらず低迷し、反転の材料も特に期待ができない。そのために先行きは厳しいと考えなければならない。
  家計の支出が減少すれば、製造業やサービス業にはその影響をまともに受けるので、この関係の業績悪化は避けられず、それがさらに家計の消費を冷え込ませるという悪循環を繰り返す。
  銀行も不良債権処理のための貸しはがしに必死であり、今後は中小企業の倒産の状況が3月決算に向けて顕著になる可能性が容易に予想できるので、事態は極めて厳しい。
  一部に、中高年の富裕層の消費があるが、減税でこれをねらい打ちしても老後不安があり、低金利の長期化で運用難の時では節約の意識はますます強まる。このまま、景気浮上策について「放置状態」が続けば今後の見通しはたたない。
  なお、消費者態度指数は「暮らし向き」など5項目に対する消費者の今後半年間の見通しを調査し、指数化したものであるが、内閣府ではその原因をボーナスの減少や株価低迷、政府の景気判断の下方修正としている。
  当分はこの数字の改善の材料が見あたらないので、「夜明け前」との判断もできない。
  難しい状況の中で「迷走状態」はしばらく続きそうである。
(経済評論家 石井 勝利)
2003.01.21
前のページにもどる
ページトップへ