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平成15年度政府経済見通しが閣議決定
  1月24日、政府は平成15年度の経済見通しを閣議決定した。これによると、平成15年度の経済成長率(国民総生産対前年度比)は、実質0.6%、名目−0.2%となった。平成14年度の実績見込みについては、実質0.9%、名目−0.6%としていることから、実質成長率はやや低下、名目成長率はマイナス幅の縮小となっている。
  以下に、注目されるポイントを整理し、まとめてみたい。
<家計部門の動向>
  家計部門の需要動向を占う上で前提となる雇用・所得環境については、「構造改革を進める中で、厳しい状況が継続する」とし、完全失業率は、平成14年度実績見込み5.4%に対して、5.6%の上昇を見込んでいる。こうした厳しい雇用・所得環境から、個人消費は前年度に比べて伸びが低下し実質0.4%増、民間住宅投資は、前年度と同様マイナスが続く (実質−2.0%)としている。
<企業部門の動向>
  一方、企業部門については、世界経済の緩やかな回復に伴う輸出の伸びや景況感の改善により、鉱工業生産は対前年度比2.0%増と、引き続きプラスを維持すると見込んでいる。設備投資については、こうした生産の持ち直しや、企業業績の回復、政策減税などにより、緩やかな回復に向かい、対前年度比1.8%増とプラスに転じるとしている。
<物価動向>
  物価は、引き続きマイナスとなるものの、需給要因の改善などから下落幅は縮小し、国内企業物価が対前年度比−0.9%、消費者物価が対前年度比−0.4%を予測している。
  政府経済見通しが、民間シンクタンクなどの経済見通しと決定的に異なるのは、一種の政策目標となっているからである。今回の政府の経済見通しでは、総じて経済の低迷が続くものの、デフレ傾向は企業部門が先導する形で改善に向かう姿が描かれており、小泉内閣の構造改革路線「構造改革なくして景気回復なし」を引き続き色濃く反映したものといえる。経済見通しでは、家計部門の雇用・所得環境の厳しさは、「構造改革の過程で短期的には避けられない」とし、構造改革の「痛み」を国民に求める内容ともいえるが、果たして国民がどこまで「痛み」に耐えられるのか、内閣支持率や自民党総裁選挙などの政局とも絡んで今後が注目されよう。
2003.02.04
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