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損金算入対象法人の範囲拡大へ
  平成15年度税制改正大綱において、中小企業・ベンチャー企業支援策の1つとして、交際費課税の損金算入対象法人の範囲の拡大が盛り込まれた。400万円の定額控除を認める対象法人の範囲を資本金1億円以下の中小法人(現行:資本金5,000万円以下の中小法人)に拡大するとともに、定額控除額(年400万円)までの金額の損金算入割合も90%(現行:80%)に引き上げられる。これまで、支出した交際費の全額が損金不算入とされていた資本金5,000万円超1億円までの中小法人にも、一定の額まで交際費の損金算入が認められることになった。
  税務上、法人が支出する交際費は原則としてその全額が損金不算入であり、特例で一部の中小法人にのみ一定額までの損金算入が認められている。つまり現行の規定では、法人が支出する交際費について、資本金5,000万円超の法人については支出額の全額が損金不算入であり、資本金5,000万円以下の法人については、交際費支出額と定額控除額(年400万円)とのうち、いずれか少ない方の金額の80%が損金算入できる。これが平成15年度の税制改正により、交際費について損金算入できる法人の対象範囲が拡大し、これまで交際費の全額が損金不算入であった資本金5,000万円超1億円以下の中小法人についても一定額まで損金算入が認められるようになる。さらに損金算入割合もこれまでの80%から90%に引き上げられる。
〔損金算入ができる法人の範囲の拡大による効果〕
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〔損金算入割合を80%から90%に引き上げた効果〕
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  「交際費の損金不算入制度」はこのように規定が改正された上で、適用期限が3年延長される。具体的には、平成15年4月1日から平成18年3月31日までに開始する事業年度において今回の改正が適用されるのである。
平成15年度税制改正案は、予定通りいけば3月末までに成立する見込みである。損金算入対象を広げることで中小企業にももっと交際費を使ってもらい、企業取引を活性化させてほしい、日本経済に元気を呼び戻したいというところであるが、全法人のうち約7割が赤字という状況の中では、損金算入による税効果がどこまで期待できるか難しい面もある。
2003.02.04
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