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米国型企業統治制度が導入される!
〜「委員会等設置会社」が4月よりスタート〜
  改正商法特例法(株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律、2003年4月施行)により、大企業等(資本金5億円以上または負債200億円以上)は、米国型企業統治の経営形態を自由に選択することが可能となる。この新制度を採用した企業を「委員会等設置会社」という。
  この新制度に移行すると、企業は業務を執行する「執行役」を置き、新たに取締役会に委員会を設置する。従来の監査役は廃止されることになり、取締役会(監査委員会)が監査機能を担うことになる。委員会は、取締役候補者を決める「指名委員会」と役員の報酬を決める「報酬委員会」、職務執行を監査する前述の「監査委員会」の三つが設置される。各委員会は取締役3人以上で構成され、その過半数は社外取締役とされている。
  この制度では、従来の監査役制度においてその形骸化が指摘されていた業務執行と監督の機能が分離されることになる。社外取締役の監視を強めることにより、企業統治(コーポレート・ガバナンス)を強化することに資するものと思われる。
  なお、社外取締役について、執行役経験者・子会社の執行役は排除という厳しい要件が決められている。委員会等設置会社への移行には、株主総会の決議を受けた上で定款改訂が必要となる。
  また、現在、保険業法の改正が検討されているが、相互会社についてもこの考えを導入する方向が示されている。
【委員会等設置会社の選任の流れ】
委員会等設置会社の選任の流れ
  この新制度では、株主総会に提出する取締役の選任案を、社外取締役が過半数を占める「指名委員会」が決めることになり、ここがトップ選任に大きな影響力を持つことになる。今までのような、現役社長が後継者を決めるやり方が抜本的に変わることになる。これにより、退任社長が隠然たる権力を握る「院政」は避けられるが、このことが委員会等設置会社の定着を左右する最大のポイントといえる。ソニーなど数社がこの制度を6月から導入すると発表しており、今後の動向が注目される。
【参考】「執行役」と「執行役員」の違い
  法人税法2条15号にある役員の定義に「執行役」が新たに追加されており、「執行役」は法人税法上、取締役と同じ役員となる。一方、従来からの「執行役員」は取締役会で選任され、その監督を受けて業務執行を行うことは「執行役」と同じだが、商法などの法律により規定されておらず、税務上、原則として「執行役員」は役員にあたらない。
2003.02.18
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