> 今週のトピックス > No.573 |
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個人向け国債の売れ残りは何を意味するのか | |||||||||||||||||||||||||
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![]() 財務省が有名芸能人を惜しげもなく起用したテレビCMなどの宣伝効果が功を奏し、順調な滑り出しを見せた個人向け国債であったが、ここに来てその雲行きが怪しくなってきたようである。
多くの金融機関で初回発行枠を発売当日に完売し、その結果を受けて2回目の発行枠が増額発行されるなど、発売当初はどちらかといえば明るいニュースが中心であった。しかし、初回発行の個人向け国債のうち185億円分が、一部の証券会社や銀行で売れ残り、財務省が急きょその売れ残り分を再配分したことが明らかになった。
では、順風満帆に見えた個人向け国債に、なぜ売れ残りが発生してしまったのかという理由を、購入者側と販売者側の両方の立場から考えてみる。
まず、購入側すなわち個人投資家側からは、次のような理由が考えられる。
中でも、手数料が無料の郵便局は500億円を完売している点から考えれば、1.は特に大きな理由と考えられる。一方で、販売者側の立場から見た売れ残りの発生理由は、
などが考えられる。中でも、1.の理由は、フィー*ビジネスの確立途上である国内銀行にとっては大きな要因といえるだろう。
![]() 【今後の個人向け国債の発行予定】
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![]() 今後、第1回の3,300億円を上回る額が発行された場合、売れ残り額がさらに拡大する可能性も十分ありうるだろう。日本の債券において、理論上最も信用力があるとされる国債が売れ残るという状況は、さらに日本の信用力低下を促進する悪材料にもなりかねない。よって財務省は、売れ残りの原因がどこにあるのかを十分検証し、その課題を解決していく体制を組んだ上で今後の発行額を決定しなければ、この個人向け国債の売れ残りが引き金となり、日本国債暴落という最悪の事態を招くことにもなりかねない。
![]() *フィー(fee) 相談手数料
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2003.02.25 |
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