>  今週のトピックス >  No.578
目立つ定期保険の発売
  平成14年度の生命保険業界最大のトピックスは、何といっても10月の年金商品の銀行窓販の解禁である。各社では窓販専用の変額年金保険や定額個人年金保険を導入し、生保商品としては近年にない盛り上がりを見せた。
  銀行窓販は今までの保障中心の生命保険とは異なり、50歳代後半から60歳代の顧客に支持されているようである。ある会社の統計では、通常の対面販売で年金商品に加入する顧客層よりも、銀行窓販で加入した顧客層の方が平均年齢が5〜6歳高いといった結果が出ている。
  現在のところ一部外資系生保にやや分があるようだが、あまりの人気に予定利率を引き下げる生保も出てくるなど、各社の取り組みにはかなり温度差が見られるようになった。
  一方、保障性商品の分野では、定期保険の発売が多かったことが特徴といえる。平成14年4月から平成15年2月の11カ月間に12社から16商品が新たに発売された。銀行窓販用の年金商品を除けば新商品の約3割に当たる商品数であり、近年、発売の中心となっている第三分野の新商品に並ぶ勢いである。
  定期保険といっても一般的な定期保険はすでに発売済みの会社が多く、新商品には解約返戻金をなくすか、または通常より低く抑えることで保険料を割安にしたもの、あるいは経営者向けに節税効果を強調した逓増定期保険や長期平準定期保険の発売が目立つ。
  今年1月には、ソニー生命から逓増定期保険「エクセレントバリュープラン」が発売された。この商品はライフプランナーや代理店といった対面販売だけではなく、専用フリーダイヤルやソニー生命のホームページからも申し込みができる。
  特にホームページではモデルプランが見られるほか、生年月日と性別、保険金額を入力するだけで、解約返戻金額の推移や節税効果などが1年ごとに表示される。ダイレクトチャネルでの経営者向け保険の販売はほかに例がなく、販売開始早々からかなりの反響があったようである。
  保険期間は、死亡保険金額が一定の第1保険期間と、年50%複利で逓増する第2保険期間とに分かれる。死亡保険金額は契約時の保険金額の5倍まで逓増し、限度額に達した後は一定となる。
  第1保険期間中は、自然保険料方式に比べて保険料の余剰分が生じるため、解約返戻率が増加するが、第1保険期間終了時にピークになり、税金の軽減分を考慮した実質返戻率は146.2%になる(50歳契約、70歳満了、保険金額500万円の場合)。
  なお、払込保険料累計額と解約返戻金額とを単純に比較すると、ピーク時でも解約返戻金額が払込保険料累計額を上回ることはない。税金の軽減分を考慮した実質返戻率は、あくまで損金算入の効果を前提としたものである。個人向け、経営者向けを問わず、節税対策としての効果は現行の税制等がそのまま推移することを前提としているため、制度改定の動向には常に注意が必要である。
2003.03.04
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