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安価で安全な、高齢者のための「安心ハウス」
  日本の高齢社会はますます進展し、2002年には、2,362万人だった高齢者数が、2005年には2,500万人を突破し、高齢者割合が19.9%に到達すると予測されている。(総務省統計局調べ)このような高齢社会において、介護をはじめとするさまざまな問題の発生が予測される中、「小泉内閣メールマガジン」第83号に、民間の活力を利用した高齢者介護のための「安心ハウス」が紹介されている。
  1999年にスタートした介護保険制度だが、さまざまな原因で介護施設を利用できない高齢者が増えている。現在、約290万人の要介護老人に対し、特別養護老人ホーム・老人保健施設・ケアハウスなど政府の補助の厚い施設に入れる人は60万人程度となっている。一方、有料老人ホームは数も少ない上、入所金数千万円というような極めて高額な施設が多く、一般家庭にとって利用が難しい状況となっている。
  そこで、民間活力を使って、介護の必要な高齢者に「安心して暮らせる住まい」を提供する「安心ハウス」という構想が提示された。
   「安心ハウス構想」に基づき提供される「安心ハウス」とは、高齢者が比較的安価に安心して暮らすことのできる民間のさまざまな施設の総称で、施設型・住宅型・グループホーム型などがある。
【安心ハウスの種類と入居対象者】
  施設型 住宅型 グループホーム型
対象者
(高齢者)
要介護1〜5程度 自立〜要介護3程度 共同生活が可能な要介護の痴呆性高齢者
居室など
の設備
  • 居室:ミニキッチン、トイレ、収納
  • 共用部分:リビング、食堂、厨房、共同風呂等
  • 居室:キッチン、風呂、トイレ、収納等
  • 居室:トイレ、収納
  • 共用部分:リビング、食堂、キッチン、風呂等
  この「安心ハウス」のメリットは、入居者にとっては、高額な入居一時金がなく利用料も年金程度(月額15〜20万円)で、バリアフリーや緊急通報装置などを備えた高齢者向けの良質な施設などを利用できることである。一方で事業者にとっては、基本的に補助金はないものの、経営の自由度が高く、介護保険など既存の制度が活用できるといったメリットがある。
  小泉総理の指示で、関係当局は2002年度までに、「安心ハウス」事業のビジネスモデルをつくり、2003年度はその普及に努めることになっている。「安心ハウス」に類する施設は全国ですでに約5,000カ所あるが、その定着化と活用、さらには増設のために、関係当事者が熱心に取り組み、地域や自治体が暖かく受け入れることが期待される。
【安心ハウス構想】
○安心ハウス構想とは
  • 高齢社会の進展により増加する高齢・中所得者の方に対し、「安心して暮らせる住まい」を民間活力により広く普及させるための構想
  • 高齢者それぞれの身体状況等に対応したハード・ソフトの組み合わせにより、「安心・安全・快適」な機能が付いた住居を供給
  • 多額の入居一時金を必要とせず、個室で暮らすことができる
  • 公有地等の有効活用等により、利用料の低額化を可能にする
  • サービス内容、既存制度の利用等により、有料老人ホームや、グループホーム、グループリビング、高齢者向け優良賃貸住宅等、さまざまな形態が含まれる
○入居対象者・利用料
  • 自立から要介護まで、多様な高齢者が対象
  • 入居一時金を必要としない月額利用料のみの支払い方式
  • 家賃・管理費・サービス費・食費・介護サービス費等を明確に提示
  • 公有地の利用等により、厚生年金の受給額程度(15〜20万円)の月額利用料の実現
○ハード・ソフト
  • バリアフリー対応、全室個室化
  • 緊急通報装置の設置
  • 多様なサービスの組み合わせによる安心と快適性の提供
  • 入居者ニーズに対応したサービスの提供
2003.03.18
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