>  今週のトピックス >  No.591
高齢社会の不安に対処するグループホームが増加
  高齢社会がより進展し、社会保険の骨格をなす医療保険や厚生年金などの見直しが検討されている。中でも老人医療は、大きな課題とされている。
  2050年には3人に1人以上が高齢者という超高齢社会になると予測されている。(表参照)年をとると「もの忘れ」が始まり、老化が進むと最終的に痴ほう症になってしまうのではないかという不安が、高齢社会の今、深刻な問題になっているのだ。
  アメリカのレーガン元大統領がかかり、一躍世に認識されたのがアルツハイマー型老人性痴ほう症だ。アルツハイマー病は、1907年にドイツの精神科医アルツハイマー博士によって初めて報告された。初老期(45〜64歳)に大脳皮質の神経細胞に変性や脱落が起き、記憶や言語、知覚脳力、思考などに障害をきたす病気で、同様の障害が65歳以上に起きた場合をアルツハイマー型老人性痴ほう症と呼んでいた。しかし、この二つは同種の病気であることが判明し、現在は「アルツハイマー型痴ほう症」といわれている。
  このような老人性痴ほう症には介護保険があるが、老人性痴ほう症をケアする国の施設数などはまだまだ少なく、政府は安心ハウス(今週のトピックス585)など民間の活力による対応を推進している。
  最近、安心ハウスの一つである、痴ほう症高齢者が共同生活するグループホームが急増している。首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)では、この1年で130カ所以上増え、3月1日現在345カ所に達している。これは、家庭的な雰囲気で暮らせる点が高齢者やその家族の人気を集め、民間企業が相次いで参入しているからだ。
  グループホームは、痴ほう症の高齢者が5〜9人を基本単位として共同生活する施設で、痴ほう症の進行を和らげる効果があるとされている。民間企業では、訪問介護事業、福祉施設・社員寮の運営事業、保育所運営事業などと兼営する事業体が多いようだ。社員寮からグループホームに転用されている施設も多く、最近の不景気で、会社が社員寮や保養所を整理・転用していることも施設数増加の追い風になっているといえるだろう。
【高齢者数と高齢化率の推移】
高齢者数と高齢化率の推移
資料: 2000年までは総務省「国勢調査」、2005年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成14年1月推計)」
2003.04.01
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