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厳しさ増す高校・中学新卒者の就職内定状況
  3月14日、厚生労働省は高校・中学新卒者の就職内定状況(平成15年1月末現在)を発表した。
  これによると、高校新卒者の求人数は約20万2千人で前年同期比▲11.3%、求職者数は約19万2千人で前年同期比▲6.4%となり、この結果、求職者数に対する求人数の比率を表す求人倍率は、1.06倍で前年同期比▲0.06ポイントとなった。一方、就職内定者数は約14万2千人で前年同期比▲8.0%となり、この結果、求職者数に占める就職内定者の割合である就職内定率は74.4%で前年同期比▲1.3ポイントとなった。
  また、地域別の就職内定率をみると、その格差が顕著となっており、北海道では56.3%と全国平均を18.1ポイント下回ったほか、東北、四国、九州の各地域も全国平均を下回る結果となった。
  近年、高校・中学新卒者の就職状況は、大学新卒者にも増して厳しい状況が続いており、深刻な問題となっているが、こうした背景には、最近の景気低迷を背景とする循環的な要因に加え、より根深い構造的な要因があるとの見方が増えている。
  その一つとして、大学進学率の上昇により、企業が大学新卒者を採用しやすくなり、結果的に高校新卒者の雇用機会が減少していることが指摘されている。
  また、産業構造の変化が大きな要因となっているとの見方も有力である。わが国では、従来、工場などの製造現場を中心に高校・中学新卒者の労働力需要が大きく、製造業がその雇用の受け皿として大きな役割を担っていた。しかし近年、生産ラインがアジアなどへ移転したことによって、国内での製造業の雇用吸収力が低下しているとされる。
  一方サービス業は、雇用者数が増加傾向ではあるものの、製造業に比べてアルバイトや派遣などの非正規雇用の割合が高いため、製造業が従来果たしてきた高校・中学新卒者の受け皿という役割を、完全に代替するには至っていないとみられる。
  このような厳しい就職状況を受け、厚生労働省としても、「未内定者ジョブサポート事業」と称する緊急対策を実施してはいるものの、その背景が構造的なものと考えられるだけに、より抜本的な対策が必要となってくるといえるだろう。
【高校新卒者の求人・求職・就職内定率の推移(1月末現在)】
高校新卒者の求人・求職・就職内定率の推移
厚生労働省「平成15年3月高校・中学新卒者の就職内定状況等(平成15年1月末現在)について」より
2003.04.01
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