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12年9カ月の間に家計で増えた資産、減った資産
〜日銀資金循環勘定2002年第4四半期速報より〜
  3月17日に、日銀から2002年12月末の「資金循環勘定(速報)」が発表された。資金循環とは、金融機関、政府、家計などのお金のやりとりと、その結果保有する現金、預金や借入などの残高を3カ月ごとに記録した統計である。現金や借入の残高の記録のことを「金融資産・負債残高表(ストック表)」といい、金融資産・負債残高表の家計部門をみると私たちの家計の資産保有の状況を知ることができる。
  資金循環統計は、途中統計方法を改訂しており、現在と同じ基準で比較できるのは最大1990年3月末からになる。2002年12月末までの12年9カ月の間に、私たちの家計の中身はどう変わっただろうか。1990年3月末と2002年12月末の家計資産の内訳を下に示した。
  【家計金融資産の内訳】
家計金融資産の内訳
(単位:兆円)
資金循環勘定
(出典)日本銀行「資金循環勘定」金融資産・負債残高表家計部門
  図を見ると、1990年3月時の株式等の保有比率の高さが目を引く。内訳の20.1%は、保険・年金の19.6%を上回っている。
  続けて、増えた資産と減った資産について表にまとめたので、ご覧いただきたい。
  1990年3月というと、株価がかつてない高水準のまま上昇を続け、株式や投資信託の購入者が広がった時期だ。資金循環の「株式」「投資信託」など値動きのある資産の減少は、バブル崩壊から現在に至るまでの資産価格低下の過程で、それらの資産を手放した人が多かったことと、価格低下による目減りが要因と考えられる。
  増加した資産は、「現金・預金」と「保険・年金」である。
   「保険・年金」は年金準備金と保険準備金の合計で、年金準備金は企業年金、国民年金基金などの、保険準備金は満期返戻金を受け取ることができる貯蓄型の生命保険、損害保険の残高である。12年9カ月間で保険準備金が大きく増えた主な要因は、(1)90年代初め、予定利回りの高い貯蓄型の保険に加入する人が多かったこと、(2)貯蓄型保険の性質として、時間の経過とともに資産残高が増加したことが挙げられる。
  「現金・預金」の増加と考え合わせると、値動きのある資産を減らした一方で、値動きの少ない安全な資産へと、人々の資産がシフトした様子が示されているといえるだろう。
参考:日本銀行ホームページ「金融経済統計/資金循環」
2003.04.08
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