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実態にそぐわない「2千円札」の流通量
  2000年7月に、九州・沖縄サミットを記念して発行された2千円札だが、3年目を迎えようとしている現在も、流通量ははかばかしくない。日銀では別表のように「新札の流通量は着実に増加している」と分析しているが、そのほとんどは銀行の金庫や家庭のタンスに眠っているようで、市場に流通している様子はみられない。2千円札で買い物をしようとした人が「この紙幣で大丈夫ですか?」と確認したという笑い話のような実話もある。
  それほどに流通しない原因は、ATMや自動販売機の対応が十分でないことがある。日本自動販売機工業会の調査(2002年3月現在)によると、2千円札での入金が可能なATMは75.4%、自動販売機は47.5%だが、タバコや飲み物など日常よく使う自動販売機については0%で、今後のニーズも全くない状況だという。
  2千円札は、従来の偽造防止技術に加え、潜像模様や光学的変化インキ、マイクロ文字など、さまざまな防止技術が搭載され、容易には偽造ができないようになっている。
  日銀は各金融機関に対し、偽造防止強化策としても2千円札の積極的な払い出しを要請し、普及に努めているが、効果は前述のように思わしくない。来年には千円、5千円、1万円札も新紙幣が発行される予定だが、これを機に、果たして高額な費用がかかる自動販売機が改造され、なじみの薄い2千円札が普及するかが注目される。
【2千円札の流通状況】
2千円札の流通状況
出典:日本銀行資料より作成
2003.04.15
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