> 今週のトピックス > No.600 |
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60歳からのライフプランニングについて考える | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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![]() ライフプランニングとは、「人生設計」ということだ。90年代に脚光を浴び始めたこの言葉は、今や一般的な言葉になった感がある。従来のライフプランといえば、20代〜40代のいわゆる独身世代から、結婚・出産・子育てと家族形成期を迎える世代のために存在するように考えられていた。これら世代は、今後ライフイベントが数多く発生し、それらのイベントに計画的に対処していく必要があると考えられているからであろう。確かに、将来支出に備えるためにライフプランニングという観点から考えれば、この世代に対してライフプランニングが主流となることは納得できる。
しかし、これらの世代におけるライフプラン立案には、今大きな課題が発生している。それは、ライフプランニングの重要な要素である定期的な収入(給与・賞与)が、削減されたり、終身雇用制の崩壊による雇用の流動化などによって予想しづらくなっているということである。その結果、90年代のライフプランニング手法が通用しないケースが多くなってきている。
![]() 一方で、従来はあまりライフプランを立てる対象とされなかった60歳代、とりわけサラリーマン退職者におけるライフプランニングは、これからますますその重要度が増していくことが予想される。
その理由の一つは、ライフプラン立案において重要な要素である「収入」において、この世代はかなり安定的ということだ。(特に一定年齢のサラリーマン退職者は、60歳からの特別支給の老齢厚生年金があり、65歳までには満額支給が開始される)
退職年齢の主流である60歳の平均余命は、男性が21.72年、女性が27.13年(厚生労働省「平成13年簡易生命表」)といずれも20年を超えており、ライフプランニングを立案する必要があるといえる。この年代は、保有資産においても持ち家率が高く、しかも住宅ローンは完済しているケースが多い。また、金融資産の保有額がかなり多いのもこの年代の特徴だ。(表参照)
![]() 【世帯主の年齢別、保有財産と貯蓄の目的】
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出典:金融広報中央委員会「家計の金融資産に関する世論調査平成14年」より
![]() 上記の表から、20代〜30代のニーズが高いライフプランニングが、子育てや住宅取得などのライフイベント達成における資金計画およびそのリスクマネジメントであるのに対し、60歳代以降のライフプランニングは、豊かな老後生活の達成のための金融資産有効活用が主目的であることが分かる。
![]() 公的年金の給付額が引き下げられたことで、今後ますますこれらの世代の金融資産運用のニーズが高まっていくであろう。自己責任のもと、自らの金融資産を資産運用へシフトしていくことを検討する必要がある。その時、資産運用相談および介護や病気などのリスクマネジメントを柱にした60代独自のライフプランニング手法確立が、今後のFPビジネスにとって大きなビジネスチャンスになる可能性は大いにある。その意味では、今回の公的年金の給付額引き下げは、新たなFPビジネスの幕開けといえるだろう。
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2003.04.15 |
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