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任意共済などの共済加入者が増加
●契約件数は約1億4,350万件
  最近、共済を取り上げたテレビ番組や経済誌・週刊誌が目につくようになった。デフレ経済が進行する中で、生命保険についても保障の見直しや死亡保障の頭打ち傾向が強まり、新規契約の低迷が続いている。その一方で、保険業界の業績低迷に対して好調な伸びを示しているのが各種共済だ。
  日本共済協会の「ファクトブック2003」は、共済事業を実施している60共済団体の実績をまとめており、それによると2001年度末の受け入れ共済掛け金は、前年度比3.4%増、総資産は4.9%増の43兆6,374億円に上り、契約件数は1億4,349万件となっている。
  最近では共済の中でも、所管省庁の認可を必要としない「任意共済」の設立が増加してきており、インターネットや通販、さらに募集組織(代理所・推進員)を通じて、全国的規模で加入を展開している共済が多数登場している。これまでの共済は、自動車や火災といった分野の商品や生命保障の死亡保障が中心だったが、最近ではがん・医療保障が充実してきている。
  共済は同じ職域や地域、業種などの特定グループの構成員がお金を出し合って、さまざまなリスクをカバーしようという仕組みになっている。管理費や宣伝・販売経費を低く抑えることによって、保険に比べて掛け金が安いことや柔軟な商品設計が可能なことから、保険から共済へ切り替える消費者が多くなっているようだ。
●共済の知識を身に付けよ
  共済には、協同組合法に基づく共済(JA共済、全労災の「こくみん共済」、全国生協連の「県民共済」など)、農業や漁業など災害補償法に基づく共済、地方自治法に基づく共済があり、それぞれ農水省や厚生労働省などの監督下にある。こうした根拠法をもつ制度共済に対して、根拠法を持たないのが任意共済だ。
  任意共済はその名の通り、任意の団体が運営する共済事業であり、事業免許や商品認可の必要がない。また、運営に関するディスクローズが運営主体に任されているため、実態が不透明なところもある。
  基本的仕組みは、共済会(運営主体)があり、加入推進を図る代理所(販売組織)を持ち、特定団体の会員(企業、団体、個人)に保障と各種サービスを提供している。また、海外の再保険会社に出再(再共済)することによって、リスクの分散を図っている。
  最近では、NPO法人による共済制度や社団法人による共済制度が登場するなど広がりを見せている。
  任意共済は任意団体が自由に立ち上げることが可能なため、共済金の支払いを懸念する声も上がっている。共済団体の構成員は、同時に保険会社の個人保険マーケットでもあるため、そこに共済と保険の競合関係が生まれてくる。
  今後、営業現場で共済が話題になるケースが増えると予想され、共済に対する知識を持って対応する必要があるといえるだろう。
2003.04.22
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