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妊娠・出産から6歳までの子育てコストは約440万円
  財団法人こども未来財団はこの4月、「子育てコストに関する調査研究」の報告書を公表した。この調査は、小学校就学前の乳幼児期の子育てコストに焦点を絞り、子育てに関してどのような用途にどれくらいの金額がかかっているかを把握することを目的としている。調査結果は、子育て中の女性のインターネット・モニターやアンケートに基づいている。財団のホームページでは平成9年以降の調査結果が公表されており、今回が6回目に当たる。
  この報告書によると、妊娠・出産から6歳までの子育てコストとして440万円程度かかるという結果が出た。その内訳は、妊娠・出産と0歳児の子育てコストの合計額が約100万円、1〜3歳までが年間約50万円×3年=150万円、4〜6歳までが年間約65万円×3年=195万円となった。
●妊娠・出産と0歳児の子育てコストの合計額は約100万円
  内訳は、出産費が約45万円、出産準備費が約5万円、ベビー用品・衣料が約20万円、育児費が約13万円、お祝い行事関係費が約7万円、子育てのための預貯金・保険が約10万円だった。
  この期間の子育てコストは、調査対象の年間所得の違いにかかわらず、ほぼ同額が支出されるため、所得が低い世帯ほど年間所得に占める子育てコストの割合が高い。これは、定期検診や出産、入院などの費用は節約しづらいものであることが起因していると思われる。
●0〜3歳よりも4〜6歳の方が子育てコストが高い
  出産前後は赤ちゃん用の家具・寝具などをそろえる費用がかさむが、それ以外に目立った支出はない。子どもが保育所や幼稚園に入園し、習い事が始まるころになると子育てコストが目立って増加する。これらの教育費用は所得水準の高い世帯ほど高くなる傾向がある。
  ただし、0〜3歳児については、パートやフルタイムで働いている母親と専業主婦の間で、幼稚園・保育園関連費(幼稚園・保育園費、延長保育・夜間保育費、ベビーシッター費用などを含めた年間の平均額)について大きな差がついた。たとえば1歳児では、専業主婦の場合は65,000円だが、パートは124,800円、フルタイムは257,900円となった。
●祖父母との同居、複数の子育てでコストダウン
  ほとんどの費目について、祖父母と同居または隣居している世帯のほうが子育てコストは低くなった。子ども用品や衣料を祖父母が買い与えたり、育児費を援助している様子が読み取れる。
  また、2人目以降の子どもは1人目よりもほとんどのコストで割安になる傾向があった。これは1人目の子どものベビー用品や衣料などを2人目に「お下がり」として与えたり、1人目の子育てによってコストを抑えるコツを身につけたことが考えられるだろう。
●高年齢出産ほど子どもの保険にお金をかける傾向
  子育てのための預貯金・保険の出費をみると、1〜6歳までの合計額は約67万円となった。1人目の子どもには792,000円支出しているのに対し、2人目以降は561,300円と大幅に下がっているのが興味深い。
  また、所得水準をみると、400万円未満の世帯が560,500円なのに対し、800万円以上の世帯では878,000円と、約1.5倍の支出額となった。さらに、母親の出産年齢をみると、24歳までの母親では子育てのための預貯金・保険に510,400円支出しているのに対し、30歳以上の母親は777,500円と、これも約1.5倍だった。
  以上をまとめると、「高所得世帯で30歳以上の母親がはじめての子どもを出産した場合」には、子どものための預貯金や保険にお金をかける傾向があるといえそうだ。
参考:財団法人こども未来財団「子育てコストに関する調査研究」
(社会保険労務士・ライター 本田桂子)
2003.04.22
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