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●海外旅行傷害保険の補償範囲が拡大
4月3日、政府は「SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome/重症急性呼吸器症候群)」を感染予防法*上の新感染症に認定した。さらに、指定感染症に認定する方向で検討されている。
これまで、海外旅行傷害保険における「SARS」の取り扱いは、通常の疾病と同様に旅行期間終了後72時間以内に医師の治療を開始した場合は保険金の支払い対象としていた。
今回、新感染症に認定されたことにより、また、「SARS」の潜伏期間が2〜10日あることから、コレラなどの感染症と同様の取り扱いとなった。すなわち、旅行期間(責任期間)中に「SARS」に感染し、帰国後発病し72時間経過後に医師の治療を開始した場合でも、30日以内であれば保険金の支払いの対象とすることになった。
今回のこの措置は、この病気の重大性を認識した損害保険会社の速やかな対応によるもので、政府も直ちに約款改訂の認可を与えている。なお、疾病による死亡については、普通約款ではなく疾病死亡危険担保特約で取り扱っており、今回の補償範囲の拡大は感染症追加担保特約条項などで主務省の認可を得ている。
この措置により海外旅行傷害保険の補償範囲が拡大されるが、これによる保険料の増加はない。
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感染症予防法(感染症予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律) |
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平成11年4月1日に伝染病予防法、性病予防法およびエイズ予防法を廃止統合して制定された。 |
【感染症予防法の対象となる感染症の定義・類型】
| 類 型 |
感染症名 |
性 格 |
主な対応・措置 |
感
染
症
類
型 |
一類感染症 |
エボラ出血熱、ペストなど |
感染力、罹患した場合の重篤性等に基づく総合的な観点からみた危険性が極めて高い感染症 |
- 原則入院
- 消毒の対物措置(例外的に建物への措置、通行制限等の措置も適用対象)
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| 二類感染症 |
急性灰白髄炎、コレラなど |
感染力、罹患した場合の重篤性等に基づく総合的な観点からみた危険性が高い感染症 |
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| 三類感染症 |
腸管出血性大腸菌感染症 |
感染力、罹患した場合の重篤性等に基づく総合的な観点からみた危険性が高くないが特定の○○への就業によって感染症の集団発生を起こし得る感染症 |
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| 四類感染症 |
インフルエンザ、ウイルス性肝炎など |
国が感染症発生動向調査を行い、その結果等に基づいて必要な情報を一般国民や医療関係者に提供・公開していくことによって、発生・拡大を防止すべき感染症 |
感染症発生状況の収集、分析とその結果の公開、提供 |
| 指定感染症 |
政令で1年間に限定して指定された感染症 |
既知の感染症の中で一〜三類に分類されない感染症において一〜三類に準じた対応の必要が生じた感染症 |
厚生労働大臣が公衆衛生審議会の意見を聴いた上で、一〜三類感染症に準じた入院対応や消毒等の対物措置を実施 |
| 新感染症 |
政令で症状等の要件指定をした後に一類感染症と同様の扱いをする感染症 |
人から人に伝染すると認められる疾病であって、既知の感染症と症状等が明らかに異なり、その伝染力及び罹患した場合の重篤度から判断した危険性が極めて高い感染症 |
一類感染症に準じた対応を行う |
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| 厚生労働省資料より |
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