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規制強化のイギリスにおけるFPの活動
〜イギリスFPのヘレンさんに聞く〜
● 信頼され、能力のあるFPだけが生き残る時代へ
【元小学校教師だったヘレンさんの笑顔】  独立系FPとして世界をまたに活躍しているイギリスのMrs.Heren Jenkins(以下ヘレンさん)が来日し、激動しているイギリスの生保FP事情を聞いてみた。以下はその要約である。
  イギリスでは2000年6月に「金融サービス市場法」が成立し、それまで九つの機関に分散していた金融関連の監督権限をFSA(The Financial Services Authority/金融サービス機構)に集中することとなった。FSAの権力は強大で、銀行・保険・証券・投資ビジネスなどのライセンス認可、監督、監視を行っている。
  特に約3万6,000人といわれている独立系FPに対しては、今後コミッション(手数料)を廃止し、フィー(報酬)のみにするという規制強化に取り組んでいる。これは、資産運用のアドバイス過程で、顧客が生命保険に加入した場合、FPが顧客からフィーを、保険会社からはコミッションをもらうのは二重取りだとする根拠による。
【FA向け週刊誌】
  ヘレンさんの場合は、投資や税対策のアドバイスがメインだが、収入全体に占める割合が高いので、保険のコミッション収入も打撃を受けざるをえないという。規制発表以来、年配のエージェントや生保販売がメインのエージェントを中心に廃業が相次いでいる。
  さらに深刻なのは、生保販売が厳しい環境ということもあるが、ライセンス認可が極めて難しいということである。このためFPを目指す若い人が極端に減り、将来が心配だとヘレンさんは憂いている。イギリスではFPよりもFAという呼称が一般的だ。FSAが行っている独立系FAに対する許認可に際しては、基本的な知識はもとより、支払い能力(金銭的な信用)、経歴、適任性など、あらゆる観点から判断される。
  イギリスでは規制強化でFPが淘汰され、今後は的確なアドバイスで顧客に信頼される者しか残らないだろうし、そのためにも一層自分を磨く努力をする必要があると締めくくった。
(取材 荒明孝昌)
2003.05.27
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