>  今週のトピックス >  No.630
少子化問題これで解決するか?
〜「次世代育成支援対策推進法案」が国会審議中〜
● 今までの少子化対策では効を奏さず
  わが国は、少子化に歯止めがかからず、さらに高齢化が進み超高齢社会が現実となっている。厚生年金をはじめとする社会保険制度も、少子高齢社会を前提とした抜本的な対策が必要になってきており、現在、厚生年金保険制度の見直しが進められている。
  また、わが国の将来のために少子化に歯止めをかけ、若い労働力を増やすことが喫緊の課題となっており、その課題解決のために政府はさまざまな対策を講じている。
  政府の今までの少子化対策には、平成6年12月の「エンゼルプラン(今後の子育て支援のための施策の基本的方向について)」、平成11年12月の「少子化対策推進基本方針」「新エンゼルプラン(重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について)」の策定・推進がある。さらに、平成13年7月には「待機児童ゼロ作戦」が打ち出されている。
  しかし、「新エンゼルプラン」の策定市町村は約1,300余りにとどまっており、その内容面でも不十分なものとなっている。また、職場をめぐる状況では、職場の雰囲気を理由に育児休業を断念した者も多く、まだまだ不十分な状況で大きな成果を挙げていない。
●国・自治体・企業による少子化対策を推進
  そこで、平成14年9月に「少子化対策プラスワン」が提案され、これを受けて平成15年3月に「次世代育成支援に関する当面の取組方針」が提示された。そして、現在「次世代育成支援対策推進法案(以下「推進法案」という)」として今国会(第156回通常国会)に提出され、法制化が進められている。
  この「推進法案」は、国・自治体・企業が三位一体となって強力に少子化対策を推進していくことを求めている。
  国は指針を策定し、計画に基づく取り組みを支援する。自治体は子育てと仕事の両立を支援するため、地域の子育て機能の再生等の行動計画を、企業は働き方の見直し等の行動計画をそれぞれ策定し、実行する。企業はその行動計画の概要を都道府県労働局に届け出ることになっており、大企業(常時雇用労働者300人超)には届け出を義務付け、中小企業は努力目標としている。
  企業の行動計画策定にあたって、国は具体的な行動計画のモデルプランを提示しておりその策定プロセスを指示している。このモデルの実現には、多くの経営資源の投入から企業文化の変革まで、相当のエネルギーを必要とする。さらに、数値目標の設定を求めており、優良な企業に対しては「認定マーク」を付与するとのことだ。
【認定マーク付与の基準】
●法令に違反していないこと
●数値目標の設定と達成
(1)男女別育児休業取得率(男性10%、女性80%など)
(2)年次有給休暇等の取得率
(3)所定外労働時間の削減に係る数量的目標
【「少子化対策プラスワン」の基本的考え方】
  「夫婦出生力の低下」という新たな現象を踏まえ、少子化の流れを変えるため、少子化対策推進基本方針の下で、もう一段の少子化対策を推進。「子育てと仕事の両立支援」が中心であった従前の対策に加え、四つの柱に沿った対策を総合的、かつ計画的に推進。
<四つの柱>
(1)「男性を含めた働き方の見直し」
(2)「地域における子育て支援」
(3)「社会保障における次世代支援」
(4)「子供の社会性の向上や自立の促進」
2003.06.03
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