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簡易保険事業の「アクションプラン」公表
● 公社化に伴い、「真っ向サービス」を掲げる
  平成15年4月から郵政事業の公社化により日本郵政公社が発足した。この度公表された「アクションプラン」は、「公社全体のアクションプラン」「郵便事業のアクションプラン」「郵便貯金事業のアクションプラン」「簡易保険事業のアクションプラン」からなり、公社の経営ビジョンを具体化するとともに、中期経営目標を確実に達成するための公社の行動計画で、次の三つを趣旨に策定された。
(1)
中期経営目標を確実に達成するため、最初の2年間で可能な限り改革を前倒しすること
(2)
郵便事業新生ビジョンなど公社化前からの計画があるが、公社発足に伴い、新たな経営計画が必要なこと
(3)
郵政事業の中長期的な発展を見据えて、経営ビジョンを具体化すること
  日本郵政公社の発足当初は、3事業本部が旧郵政事業庁の業務を踏襲し、支社や郵便局については事業上の組織形態に大きな変更はないが、中長期的な目標管理や業績評価、経営情報の公開など、これまで実施していなかった民間事業会社的な手法が、この「アクションプラン」に取り入れられている。
  特に顧客サービス面においては、「真っ向サービス」を掲げ、小包やDMの市場拡大(郵便)、お客さま満足の高いリテールサービスの提供(郵便貯金)、基礎的生活保障のベストサービス(簡易保険)の実現を目指すとしている。
● 事業の効率化と営業基盤強化で保険業界へ乗り込む
  簡易保険事業については、他の民間生保と同様、業績の縮小傾向になかなか歯止めがかからず、平成15年4月の業績を見ると、新契約が対前年比26.2%の減少、保有契約で対前年比0.4%の減少となっている(いずれも保険金額)。「簡易保険事業のアクションプラン」においても、これまでの主力商品であった貯蓄性の普通養老保険の減少を踏まえた上で、「保険市場の変化への対応と収益構造の改善」および「効率化の推進」を目標として掲げている。
  具体的には、第3分野など生存保障ニーズの高まりに焦点を合わせ、
(1)
保障性商品の販売強化と特約付加率の向上
(2)
マーケティングの強化を推進する
(3)
従来の貯蓄性商品を中心とした営業活動から脱却し、低金利の長期化に備えて営業基盤の強化を図る
としている。
  効率面では、事業費の削減をメインに事務の効率化などを進め、本社、支社、郵便局が一体となった取り組みを行う。
  今回の「アクションプラン」の策定を受け、簡易保険事業においてもサービス向上や事業の効率化などを武器に積極的な事業運営が期待される。今年4月時点では新商品の投入がなかったものの、公社化により商品や保険料率の改定が容易になり、民間生保や各種共済を意識した新商品の投入も予想される。
  また、営業現場である郵便局においても店舗ごとの業績評価などが行われることから、これまで以上に隣接業界との競合が激しくなりそうな気配である。「アクションプラン」の地方展開は6月末に予定されており、今まさに具体化に向けた詰めの作業が行われているものと思われる。今後の本社機構、支社機構の本格的な改正と合わせ、「真っ向サービス」の取り組み強化がどのような影響を及ぼすか、しばらく郵便局から目が離せない状況が続きそうである。
2003.06.16
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