>  今週のトピックス >  No.641
実施から1年半、着実に前進する確定拠出年金
  確定拠出年金は平成13年10月に施行され、2年目を迎える。
  厚生労働省年金局から平成15年3月末日現在で「企業型年金の運用実態について」の実施状況のデータが発表されている。これによると、確定拠出年金の導入企業や加入者数は爆発的には増えていないが、着実に増えている。
  平成15年3月現在、企業型の年金制度(規約)数は361件で加入者数は約32.5万人、個人型加入者は1.4万人となっている。確定拠出年金の採択企業については、トヨタ自動車や三越などの大企業が報道などで取り上げられているが、実際は300人未満の中小企業が過半数を占めている。
  なお、2月までの既制度からの資産移管は、140件で、ほとんどが適格年金がらみとなっている。適格年金のみからでも83件あり、6割を占めている。大企業などにおいて、移管金が1,000万円以上の従業員が定年直前の人を中心に多数いるが、そのほとんどが定期預金などの元本保証タイプで運用しているということだ。
【確定拠出年金の実施状況(平成15年3月末現在)】
● 企業型年金制度数:361件  企業型加入者数:約32.5万人
● 個人型加入者数:約1.4万人  個人型登録企業数:7,481社
【従業員規模別、企業型年金制度数】
従業員規模別、企業型年金制度数
【企業型年金の運用実態について(平成15年2月28日現在、276件)】
既制度からの資産移管(件)
その他の企業年金の有無(件)
適格年金
83
適格年金
29
退職金
29
厚生年金基金
66
適格年金・退職金
21
適格年金・厚生年金基金
9
厚生年金基金
5
確定給付
1
適格年金・厚生年金基金
1
なし
(うち導入前からなし)
171
(83)
適格年金・厚生年金基金・退職金
1
なし
136
  実際に確定拠出年金を実施している大企業の担当者によると、最大の課題は、導入時に組合などと連携しながら、確定拠出年金制度や投資運用などについて、回数・時間・内容などを工夫しながら十分実施したにもかかわらず、従業員の意識の低さと知識面での理解が不足しているということだ。このような現状から、企業の担当者は導入後の継続教育の重要性を訴えている。また、株式市場の低迷により財産が目減りしていることも心配の種といえる。
  しかし、従業員からの運用についての不満や苦情の声は、まだ企業の担当者に届いていない。
【企業型実施企業数と個人型加入者数の推移】
企業型実施企業数と個人型加入者数の推移
図表の出典はすべて厚生労働省年金局資料より
2003.06.23
前のページにもどる
ページトップへ