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超低金利時代の外貨投資のポイント
● 米ドル・ユーロ・豪ドルを中心に外貨投資が注目
  国内の投資家は、国内預貯金の低金利と国内株式市場の低迷を受け、外貨投資をさらに加速させている。
  米国・ユーロともに景気低迷を受け、相次いで金利引き下げを行っているものの、バブル崩壊後、一貫して公定歩合を引き下げている日本とは、依然大きな金利格差が生じている。また、比較的経済が好調に推移しているオーストラリア(豪州)においては、米国・ユーロと比較してもかなりの金利格差が生じている。
【日本と米国・ユーロ・豪州の政策金利格差(2003年6月25日現在)】
 
政策金利
公定歩合(日本)
0.1%
FFレート*1(米国)
1.0%
ECB*2(ユーロ)
2.0%
豪州
4.75%
*1
FF(Federal Funds)レート
 
米国のFRS(連邦準備制度)の加盟銀行は、預金残高の一定割合を連邦準備銀行に預け入れることが義務付けられており、この資金が不足している時などに、余剰が出ている銀行より資金を借りる際の金利のこと。
*2
ECB(European Central Bank)
 
欧州中央銀行
  上記の政策金利は、預貯金などの金利の基本となる。つまり、政策金利格差が円預金と外貨建て(米ドル・ユーロ・豪ドル)預金、およびMMFの金利格差になるわけである。一例として、代表的な外貨預金および外貨MMFの金利を日本円のものと比較すると次のようになる。
【円・米ドル・ユーロ・豪ドル建ての代表的な1年定期金利と外貨MMF(2003年6月現在)】
 
1年定期預金金利
MMF
0.03%程度
0.01〜0.04%程度
米ドル建て
0.1%程度
0.5〜0.6%程度
ユーロ建て
0.2〜0.3%程度
1.7〜1.9%程度
豪ドル建て
2%程度
4%程度
● 金利・為替手数料・為替レートを比較
  超低金利といわれる日本の預金やMMFと比べると、確かに上記の金利は魅力的といえる。この金利格差を背景に、投資家の間では外貨投資、中でも従来のような米ドル集中ではなくユーロや豪ドルへの分散投資が広がりつつある。特に豪ドルは、昨今のブームとなりつつあり、個人の人気が集中し始めている。
  外貨預金・外貨MMFへの投資を行う際には、以下の三つのチェックポイントを踏まえた上で投資を行うことがより上手な外貨投資といえよう。
 
(1)
外貨預金・MMFの金利をチェックする
 
(2)
投資する外貨の為替手数料をチェックする
 
(3)
投資する外貨の為替レートをチェックする
  (1)の金利は、個人も必ずチェックするだろう。しかし、(2)と(3)は意外に見落とされがちといえる。しかし(2)(3)と(1)の金利チェックは表裏一体であり、この為替手数料と為替レートチェックを抜きに外貨投資を考えることは、個人にとって得策とはいえない。
  そこで前期三つの通貨に関して、為替レートと為替手数料を比較したものが以下の一覧表である。
外貨種類
為替レート(A)
(6月25日現在)
為替手数料(B)
手数料率
B/A
米ドル
約118円
片道1円
0.84%程度
ユーロ
約135円
片道1円50銭
1.11%程度
豪ドル
約78円
片道2円
2.5%程度
為替手数料は、外貨預金で一般的な水準を表示。キャンペーン等の場合は、為替手数料が低くなる場合がある。外貨MMFの場合、上記為替手数料の半分が一般的。
  上記の計算は片道で行っているため、往復手数料で考えると、手数料率はその倍になる。中でも金利が高く人気を集めている豪ドルは、ドル・ユーロよりも為替手数料が高い半面、為替レートは低いので、結果として手数料率がかなり高くなっていることが分かる。この手数料率であれば、現在の外貨預金の金利水準において、為替の変動(円安への変動)がない限り、トータル収支がプラスになるのは難しくなる可能性が高い。
  では、個人投資家が外貨投資を行う場合、どうするのが得策なのだろうか。次の三つは手軽に実行できる対策といえる。
対策
対策の効果
投資する時期を分散する
平均購入為替レートの引き下げ効果が期待できるため、為替差益が発生しやすくする
各金融機関が行うキャンペーンを活用
キャンペーンに伴う金利上乗せや為替手数料割引で、収益が発生しやすくなる
外貨預金と外貨建てMMFを使い分ける
一般的に預け入れ時点で比較すれば、外貨MMFの方が外貨預金より金利が高く、為替手数料は安い傾向がある。この点を活用する。
  低金利の昨今、外貨投資の高金利だけにスポットを当てた広告を目にすることがたびたびある。一方で、為替手数料など顧客が負担すべきコストに関しては、金利と同様に重要な要素であるにもかかわらず、あまり話題にならないケースが多い。
  このような状況だからこそ、外貨投資に関する相談については、金利・為替手数料・為替レートの3点を比較した上で、適切なアドバイスを行うことができれば、顧客からの信頼度は確実に向上するであろう。
注)
本記載内容は参考情報の提供を目的としたもので、取引や投資戦略の勧誘および申し込みを行うものではありません。また情報の正確性や完全性は保証されていません。本記載の実績においては、過去の実績を表すものであり、必ずしも将来の実績を示唆するものではありません。
2003.06.30
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