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大学生がいる家庭の教育費負担が重くなる
〜文部科学省「学生生活調査報告」より〜
  総務省が発表している消費者物価指数の主要10品目(平成12年=100)のうち、平成14年末に100を超えていたのが教育費(102.1)と住居費(100.1)の二つである。
  物価指数が上昇を続ける教育費だが、その中でも大学生にかかる教育費(学費および生活費)の増減について、また、大学生のいる家庭の年収の増減について、文部科学省の「学生生活調査報告」をもとに見ていこう。
● 学生生活費総額が増加
  図1下段のグラフは、平成8年度と12年度の国立大学(自宅・下宿別)、私立大学(自宅・下宿別)、短期大学私立(下宿)学生にかかる年間学生生活費である。
  上段のグラフは、これらの学生に対する家庭からの給付額である。
  学生生活費総額、家庭からの給付額とも最も多額なのは私立大学の下宿生である。また、学生生活費総額について、平成8年度に対する増減をみると、平成12年度は国立・私立、自宅・下宿の別を問わず増加したことが分かる。
【図1 家庭からの給付額(上段)と学生生活費総額(下段)の総額】
家庭からの給付額(上段)と学生生活費総額(下段)の総額
(注)大学、短大は昼間部
出典:文部科学省「学生生活調査報告」(平成8年度、12年度)
  学生生活費を支えている家庭からの給付額は、平成12年度で国立の自宅が年間73.9万円、私立の下宿が220.3万円と、決して軽い負担ではないといえる。
● 大学生がいる家庭の年間収入は減少
  図2は大学生がいる家庭の年間収入の増減を国立、私立、短大(国立・公立・私立短期大学の平均)別にみたものである。
【図2 大学生がいる家庭の年間平均収入の推移】
大学生がいる家庭の年間平均収入の推移
(注)短期大学平均は国立・公立・私立短期大学の平均
出典:文部科学省「学生生活調査報告」(平成8年度、12年度)
  大学生がいる家庭の年収平均は、高い順に私立、短大平均、国立となる。また、平成8年度に比べてすべての家庭で年収が減少している。
  年収が減る中で、大学生への給付額の負担はどのように推移しているだろうか、下の表を参照していただきたい。
【大学生がいる家庭の年間平均収入に占める家庭からの給付額割合(%)】
平成8年度 平成12年度
国立/自宅 8.1 8.8
国立/下宿 17.1 17.1
私立/自宅 12.9 13.1
私立/下宿 21.7 22.3
短大私立/下宿 22.6 23.6
(注)短大は、「短大私立の下宿生への家庭からの給付額/国立・公立・私立短大生の家庭の年間平均収入」として算出。
  この表から、平成12年度の負担割合が平成8年度より重くなったこと、自宅と下宿の別では下宿生の家庭の負担割合が重いこと(国立17%、私立22%、短大私立23%)が分かる。
  将来、大学生活にかかる費用負担がますます増加すると考えられ、ライフプランニングの重要性が一段と増していくといえるだろう。
*学費と生活費の合計。学費:授業料・課外活動費・通学費等、生活費:食費・住居光熱費・娯楽し好費等。
2003.07.07
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