>  今週のトピックス >  No.650
民法等の改正なるか
〜成人は18歳以上、夫婦別姓など〜
● 保険契約など、実務面での影響が考えられる
  夫婦別姓や成年年齢の引き下げなどを盛り込んだ民法の改正案および関連法案が、先の国会から引き続き今国会においても審議されている。
  夫婦別姓問題は、社会においてさまざまな論議を巻き起こしてきた案件で、なかなか成立にまで至っていない。
  また、少年犯罪が大きな社会問題となっている昨今、成人の概念が今回の改正案で大きく変更されようとしている。これまで少年とされていた18歳以上20歳未満を成人とし選挙権を与えるとともに、少年法の対象から外し、18歳以上にも社会的責任を負わせるものだ。
  さらに、相続での嫡出子と非嫡出子(認知された子ども)の不平等が是正され、改正されようとしている。
  これらの案件のいずれもが、人間としての考え方や思想に深く根ざしていることがらで、長年議論されてきた問題であり、その審議の成り行きに興味が持たれる。
  この改正案が成立すると、生保業界なども対応が必要になってくるかもしれない。成人の概念が変わることによる権利能力の問題、また夫婦別姓が認められることによる保険契約者などの契約当事者の取り扱いが、実務的な課題となってくるのではないだろうか。
【民法改正法案の骨子】
婚姻の要件
・婚姻適齢  18歳(現行:男性18歳、女性16歳)
・女性の再婚禁止期間  100日経過後(現行:6カ月)
夫婦の氏
・夫婦は、各自の婚姻前の氏を称する(現行に選択肢の一つとして追加)
子の氏(夫婦別姓に伴う追加)
嫡出子…出生の際に父母の協議で定める父もしくは母の氏(協議が不調のときは家庭裁判所の審判)
養子…縁組の際に定める者((1)〜(3))の協議により決定
1.氏を異にする夫婦が共に養子をする場合、養親のいずれかの氏
(1)養子となるものが15歳以上…養親・養子
(2)養子となるものが15歳未満…養親・養子の法定代理人
(3)特別養子縁組…養親
2.氏を異にする夫婦の一方がその配偶者の嫡出である子を養子とする場合、養親またはその配偶者の氏
(1)養子となるものが15歳以上…養親・その配偶者・養子
(2)養子となるものが15歳未満、養親の配偶者が法定代理人でない場合…養親・その配偶者・養子
(3)養子となるものが15歳未満、養親の配偶者が法定代理人または特別養子縁組の場合…養親・その配偶者
夫婦間の契約の取消権   廃止
相続の効力   嫡出でない子(非嫡出子)の相続分は、嫡出子の相続分と同一(現行:2分の1)
【成年年齢の引き下げに関する法案】
新たに18歳以上20歳未満の者を成年者として取り扱う
・民法…民法における成年の年齢を18歳に引き下げる
・公職選挙法等…公職選挙法等における選挙権を有する者の年齢を18歳に引き下げる
・少年法…少年法における少年の年齢を18歳に引き下げる
2003.07.07
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