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東京労働局が、総額22億円の割増賃金の支払いを指導
  東京労働局は、平成14年10月から平成15年3月までの半年間で、管下にある18の労働基準監督署が行った臨検監督において、時間外労働等に対する割増賃金が適正に支払われていないとして、66企業の672事業場に対し労働基準法違反として勧告・指導を行った。
● 割増賃金の支払総額は、約22億7,000万円にものぼる
  今回、勧告・指導を行ったきっかけは、定期監督、情報提供、申告等によるものである。割増賃金は、前回取りまとめた1年半(平成13年1月〜平成14年6月)の期間に指導した15億円を大きく上回り、約22億7,000万円となった。労働者数でみても、前回は合計15,205人であったが、今回は21,510人とかなり増加している。
● 1事案での最高支払額は、約3億7,000万円
  今回指導対象となった企業は、23区内が63企業で、23区以外が3企業となっており、大企業の本社が集中している都心部が大多数を占めている。最高支払額は、約3億7,000万円、次いで3億3,000万円、約2億6,000万円の順となっており、上位6事案だけで総支払額の3分の2を占める約15億円となっている。
● 対象となった企業規模や業種はバラバラで、中小企業も対象に
  対象となった66企業の労働者規模をみると、1〜29人が6企業、30〜99人が7企業、100〜299人が11企業、300〜999人が15企業、1,000〜4,999人が16企業、5,000人以上が11企業となっており、大企業ばかりではなく、中小企業も指導を受けていることが分かる。
  業種については、66企業のうち商業、製造業がそれぞれ15企業、金融業が10企業、広告あっせん業が8企業と上位を占めるが、飲食業やソフトウエア業、その他の業種も指導を受けており、指導対象企業は全業種にわたっている。
● 労働者1人当たりの最高支払額は、約168万円
  対象企業の労働者1人当たりの平均支払額は、約10万5,000円で、労働者1人に支払われた最高支払額は、約168万円となっている。注目すべきところは、企業規模が1〜29人の場合、労働者1人当たりの平均支払額は約28万円で、企業規模別でも一番高い金額となっている。
● コンプライアンスの確立を
  今回東京労働局の指導を受けた企業は氷山の一角に過ぎない。政府は、これらの課題に対して、監督指導を厳しくするだけでなく、ほかのより良い解決策を考えていかなければならない。
  また最近、労働基準法違反で社長が書類送検される事件を新聞などで見かけることが増えている。企業側も健全な企業活動を行う上で、コンプライアンスが大変重要な意味を持っていることを理解している。今後、企業は早急に社内改革を実行し、コンプライアンス重視の良好な労働環境を作っていくことが求められる。
(社会保険労務士 庄司英尚)
参考:東京労働局ホームページ
2003.07.22
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