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税務署に対する納税者の異議申し立ては6件に1件が受け入れられている
  東京国税局が公表した「平成14年度における異議申立て及び訴訟の概要」によると、平成14年度の異議申し立て件数は1,236件であった。処理件数1,089件のうち、納税者の主張が何らかの形で受け入れられたもの(一部取り消し、全部取り消し)は182件(16.7%)で、6件に1件は主張が認められたことになる。
  税務署が行った課税処分や滞納処分に不服があるときは、「異議申し立て」をすることができる。その決定に対して不服がある場合には国税不服審判所へ「審査請求」をし、そこでの裁決に不服がある場合には、裁判所に対して訴訟提起をすることになる。
  前述のとおり、東京国税局の公表によると、平成14年度における納税者からの異議申し立て件数は、前年度に比べ14件増加の1,236件で、法人税については減少したものの他の所得税、資産税、消費税についてはすべて増加している。処理件数の6件に1件が「一部取り消し」または「全部取り消し」と、納税者の主張が何らかの形で受け入れられていることが分かった。
【異議申し立て・税目別発生状況】
(単位:件、%)
平成13年度 平成14年度 対前年比
所得税(うち譲渡) 580(106) 616(98) 106.2(92.5)
法人税 268 215 80.2
資産税 124 135 108.9
消費税 250 270 108.0
合計 1,222 1,236 101.1
【異議申し立て・処理状況】
(単位:件、%)
平成13年度 平成14年度 対前年比
要処理件数 1,700 1,587 93.4



取り下げ等 328(構成比24.3) 302(構成比27.7) 92.1
却下 47(3.5) 52(4.8) 110.6
棄却 741(54.9) 553(50.8) 74.6
一部取り消し 189(14.0) 140(12.8) 74.1
全部取り消し 44(3.3) 42(3.9) 95.5
合計 1,349(100.0) 1,089(100.0) 80.7
未済件数 351 498 141.9
  例えば、今年度創設された「相続時精算課税制度」は選択して本当に有利なのか判断が難しく、また一度選択すると従来の制度には戻れないなど、評判がよくない。従って今後は、こんなはずではなかったなどと異議申し立てや訴訟提起が増加することが考えられる。
  納税者の主張が、異議申し立てなら6件に1件が、訴訟では5件に1件(下記参考)が認められているという実態をみると、本当に納得がいかないときには、あきらめずに言い分を主張していくことも大事であるということを忘れないでおきたい。
(参考)
  訴訟発生件数は前年度に比べ12件減少し、104件であった。平成14年度への係属件数は36件増加の197件となっている。また、訴訟の終結状況をみてみると、国が「一部敗訴」または「全部敗訴」した件数は前年度に比べ3件増加し14件であった。これは終結件数(68件)のほぼ5件に1件に相当する。
【訴訟・発生、終結、係属件数の状況】
(単位:件、%)
平成13年度 平成14年度 対前年比
期首係属件数 106 161 151.9
発生件数 116 104 89.7
終結件数 61 68 111.5
期末係属件数 161 197 122.4
【訴訟・終結事由別件数の状況】
(単位:件、%)
平成13年度 平成14年度 対前年比
取り下げ 4(構成比6.6) 7(構成比10.3) 175.0

却下 2(3.3) 6(8.8) 300.0
勝訴 44(72.1) 40(58.8) 90.9
一部敗訴 5(8.2) 7(10.3) 140.0
全部敗訴 6(9.8) 7(10.3) 116.7
差し戻し 0(―) 0(―)
小計 57(93.4) 60(88.2) 105.3
その他 0(―) 1(1.5) 皆増
合計 61(100.0) 68(100.0) 111.5
(注)「その他」は請求放棄によるもの
出典:東京国税局
2003.07.22
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