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パートから正社員への登用制度は6割が「ない」
  連合北海道札幌地区連合会・札幌労働相談センターは、「パートタイマー等に関する賃金労働条件実態調査」の結果をまとめた。パートから正社員への登用制度について、パートタイマーの約6割が「ない」と回答し、「ある」は2割強にとどまった。また、16.8%が「意に反した離職経験がある」と答えている。
●  パートタイマーにまでは人事制度がきちんと適用されていない
  同調査の結果によると、パートタイマーから正社員への登用制度が「ない」は、6割弱で、「ある」は、4分の1以下にとどまり、あらためてパートタイマーの不安定な雇用身分が固定化されていることが明らかになった。政府の研究会は、「多様な働き方を自由に行き来できるしくみ」を提唱しているが、それにはほど遠い現実が浮き彫りになっている。
  実際の登用制度の内訳を見ていくと、上司推薦が21.5%、次に登用試験が15.1%となっている。本人が希望したとしても、パートタイマーにまではきちんとした人事制度が適用されておらず、形だけの登用制度となっている企業が多いと思われる。
  一方、パートタイマーを貴重な戦力として活用し、やる気を出させ、正社員と同じかそれ以上の責任のある仕事を任せている企業は、業績を伸ばしているところが多い。
●  パートを選んだ理由は「時間の余裕が欲しい」が半数以上
  パートタイマーを選んだ理由のトップは「時間の余裕が欲しい」が53.0%で、次に「正社員の採用がない」で26.5%となっている。本人が正社員を望んでいても正社員の採用がないから仕方なくパートタイマーをしている、というケースが多いことが推測できる。これを業種別にみていくと運輸・通信業、清掃・警備では「正社員の採用がない」が最も多く、約6割の人がこれを理由に挙げている。
●  労働者全員の16.8%が「意に反した離職経験がある」
  意に反した離職経験がある人は16.8%であった。組合員の集計では11.5%にとどまった。業種別では、ホームヘルパーなどで、意に反した離職経験の数値が高くなっている。連合は、利用者とのトラブル解決方法がホームヘルパーに依存しすぎるためにこのような結果になることを以前から指摘していた。
  また、有給休暇を使って休んだことがあるかという質問に対しては、全労働者の7割弱の人が「ある」と答え、「ない」と答えた人が3割であったが、組合員では「ない」と答えた人は、13.7%と半減する。これら二つの質問では、組合員であるかないかによって大きく差が出た。
●  今後のパートタイマーのあり方とは
  長引く不況の中、ますますパートタイマーの割合が増えていくと予想される。パートタイマーという弱い立場では、雇用条件や労働条件については、なかなか意見する機会が少ない。この調査を終えて、さっぽろ労働相談センターの所長は、「パートタイマーが声を出せる環境をつくりあげ、パートタイマーの顔が見える取り組みを進めていきたい」と話している。
  企業側もこの調査結果をふまえて、パートタイマーへの対応などを考え直し、企業全体で迅速な改革をしていくことが必要だ。
参考:連合発表資料
(社会保険労務士  庄司 英尚)
2003.08.25
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