> 今週のトピックス > No.679 |
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60〜64歳の在職老齢厚生年金制度改正の動き | |||||||
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![]() ● 高齢者の就業を促進する改正案
平成16年の厚生年金の改正を目指し、女性の年金権の独立などさまざまな論議が進められている。その一つとして、60〜64歳の高齢者の就業を促進する改正案(在職老齢厚生年金制度の改訂)が厚生労働省から提示されている。
主婦には年収103万円などのいわゆる「就業調整の壁」があり、女性の就業促進の面から問題にされてきた。一方、定年を迎えた退職者(老齢厚生年金受給権者)は、引き続き働くかどうか、また、どのように働くかの決断を迫られ、雇用保険とのからみから、就業をしばらく断念するような調整をしている。 老齢厚生年金は、従来収入のある就業者(在職者)に対しては支給されないことになっていた。これでは高齢者の就業意欲をそぐということで、1960年代に、就業者についても年金を支給するという「在職老齢厚生年金制度」が導入された。この制度は、すべての就業者が対象ということではなく一定の収入条件を設けている。今回この条件の改訂が論議の対象となっている。 ![]() ● 年金額の20%削減が廃止される
現行の制度では、60〜64歳で賃金収入のある受給者は全員一律に年金額が20%削減され、さらに削減後の年金額に1カ月当たりの賃金額(総報酬制導入後は総報酬の12分の1)を加えた合計が28万円(来年4月以降)を超えた場合、超過額の半分相当額が差し引かれることになっている。
今回の改正案は、年金額の一律20%削減をやめ、年金額と再就職後の賃金との合計が28万円を超えた場合に、収入に比例して年金額を減額するというものだ(28万円を超えた部分の2分の1が支給停止)。これにより60歳台前半の就業を促進しようとするものとなっている。 現役世代との収入の公平性と高齢者の就業問題という二つの大きな命題があり、両方を同時に解決して高齢の就業者の年金額を決めるということはなかなか難しいようだ。 ![]()
![]() なお、厚生年金保険の被保険者資格が70歳になったことにより、60歳台後半の在職老齢厚生年金が、平成14年4月から導入されている。標準報酬月額と年金月額(報酬比例部分の12分の1)の合計額が、37万円を超えた場合、その合計額から37万円を引いた額の2分の1が支給停止される。
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2003.09.01 |
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