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米が不作でも心配ない日本の台所事情
●  東北・北海道の4道県は著しい不良
  農林水産省は8月27日、「平成15年産水稲の作柄概況」を公表した。これによると、今年は7月における低温の影響で不稔もみの発生が見込まれ、全国的に作柄は不良となっている。特に、北海道、青森、岩手、宮城については「著しい不良」となっており、平成5年以来の大不作となる可能性も出ている。当時、凶作の影響から米価が高騰し、緊急にタイ米を輸入する事態になったことは、まだ記憶に新しい。
【図1  都道府県別作柄の良否(早場地帯)】
図1  都道府県別作柄の良否(早場地帯)
出典:農林水産統計より
●  一向に減らない備蓄米
  日本では平成5年の苦い経験から、不作の年でも安定的に米の供給ができるよう米の備蓄制度ができた。現在食糧庁では、150万tを基本として米の備蓄を行っている。
  しかし平成5年以降、米の生産量が安定する一方で、日本では一人当たりの米の消費量が年々減少している。このため政府米の在庫は一向に減らず、古米の消費に四苦八苦しているような状況だ。こうした備蓄米を約半分以上使用した市販用袋詰精米「たくわえくん」があるが、買ったことがある人は9.2%にすぎない。
  平成15年の日本の年間米需要量は869万tだが、仮に平成15年産が平成5年産と同じ766万tになったとしても、備蓄米150万tを加えれば916万tとなり、充分需要を補える量になる。(平成5年は備蓄米が23万tしかなかったため158万tを緊急輸入した)
  備蓄制度の維持には備蓄米がコンスタントに消費されることが必要だが、今年の不作により消費に回される量が一定以上になれば、国にとって今年の不作はむしろ歓迎すべきことになるのかもしれない。
主婦連合会「米の消費動向調査」
【政府米の年度別在庫数量(米穀年度末)】
(単位:万t)
年産
8年産
9年産
10年産
11年産
12年産
13年産
在庫数量
15
38
16
42
37
7
155
食糧庁調べ
【図2  一人一カ月当たり米の消費量】
図2  一人一カ月当たり米の消費量
農林水産省、食糧庁調べ
2003.09.08
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