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個人向け国債、初回利払い金利の上昇に個人投資家が注目
  このところの長期金利上昇の影響を受け、10月に発行される「個人向け国債(第4回)」の初回利払いの金利が0.77%と前回(0.05%)の10倍以上となり、個人投資家の関心を集めている。これを受けて販売を行う民間金融機関や郵便局では、これまでの2倍以上の販売を見込んでいる。
  個人向け国債は、国債では初めての個人のみを購入対象者としたもので、今年の3月から4月・7月とこれまで3回発行されてきた。
(1) 
1万円から気軽に購入できる
(2) 
変動金利なので、市場金利の上昇に合わせて利子が増額
(3) 
1年経てば中途換金が可能
と個人投資家が購入しやすい上に、何よりも元本と利息の支払いを国が保証してくれるという安全性から話題性があった。
  個人向け国債の金利は、半年ごとに変動する変動金利制で、適用金利は10年固定利付国債の金利をベースに決定される。4月と7月に発行された分については、低い長期金利の影響を受け、初回利払いの金利が0.05%と下限となり、販売が低迷したためにかなりの売れ残りが生じた。
  しかし、長期金利上昇の影響を受け、初回利払いの金利が0.05%から0.77%へと一気に10倍以上に跳ね上がった。個人投資家の関心が集中するのも当然である。財務省は「個人向け国債(第4回)」について、前回実績に比べて民間金融機関で2.6倍増の5,680億円、郵便局では2.8倍増の1,666億円の販売額を見込んでいる。
  長期金利上昇局面では、「変動金利は有利」と考える個人投資家も多いと思われる。国債は1年経てば換金できるものの、直近1年分の利子相当額が差し引かれることを考えると、10年間寝かせられるような資金が対象になるだろう。
  国債が1万円から購入できるようになり、これまでの国債と比べて、個人にとってより購入しやすくなっている。これを機に国債を保有することを勉強してみるのもよい経験になるのではないだろうか。これからは貯蓄だけでなく、投資の視点も必要になる。安全性ばかりにこだわるのではなく、新規投資家として投資に慣れるための機会ともいえる。また、個人向け国債は、元本と利息の支払いを国が保証してくれることから、ペイオフ対策の受け皿としても考えられる。
  なお、初めて国債を購入する場合は、購入する金融機関や郵便局で国債専用の口座を開設する必要がある。金融機関によっては、口座の管理手数料などがかかるところもあり、購入金額、金利と税金(税率20%の源泉徴収)の関係で実質元本割れになることもあるので注意が必要だ。
<個人向け国債の概要>
購入対象者
個人のみ
償還期限
10年
購入単位
一口10,000円
利払い
年2回
金 利
半年ごとの利子がそのつど見直される変動金利(年0.05%が下限)
中途換金
直近1年分の利子相当額が差し引かれるが、購入後1年経過すればいつでも換金できる(国が買い取る)
<個人向け国債(第4回)の発行条件>
募集期間
平成15年9月10日(水)〜29日(月)
発行日
平成15年10月10日
利率(半年ごとに見直し)
初期利子の適用利率 年率0.77%
利払日
毎年10月10日および4月10日(年2回)
償還期限
平成25年10月10日
募集の価格
額面金額100円につき100円
償還金額
額面金額100円につき100円
中途換金
発行から1年経過後はいつでも換金できる。
その場合の買取金額は「額面金額+経過利子に相当する金額−買い取る日の直前の利子支払期およびその直前の利子支払期に支払われた利子に相当する金額の合計額」
取扱機関
金融機関(証券会社および銀行など692機関)および郵便局
2003.09.16
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