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家計の金融資産、「持てる者」と「持たざる者」の二極化に
●  金融資産の世帯保有平均額は過去最高の1,460万円
  預貯金や有価証券などの金融資産を持つ世帯における平均額は1,460万円と過去最高となったことが、先月22日に公表された金融広報中央委員会の『家計の金融資産に関する世論調査』で明らかとなった。
  同調査によると中央値は850万円と前年の833万円を上回ったが、現在の貯蓄残高が1年前に比べ「減った」と回答した世帯は51.1%と、3年連続で増加している。「減った」とする世帯の理由は、6割強が「収入減による貯蓄取り崩し」と答えている。このため「増えた」世帯の額が平均額を押し上げている形で、半数以上の世帯では金融資産が減り続けているといえる。
  金融商品別にみると、「郵便貯金を除く預貯金」と「郵便貯金」で6割を占めており、年々増加傾向にあるが、一方で、「生命保険・簡易保険」は一番落ち込みが大きくなっている。
  また、金融商品を選択する際には、元本が保証されていることや、取扱金融機関が信用できるなど、安全性を最も重視する傾向(平成15年54.2%)が強まっている。
●  貯蓄ゼロの世帯が2割を超える
  一方、貯蓄を保有していない世帯は21.8%と2割を超え、昭和38年以来の高い水準となった。バブル期の昭和63年当時は3.3%であったことと比較すると隔世の感があり、給与ダウンやリストラが家計に与えている深刻な実態を示している。このため、全世帯ベース(「貯蓄を保有している世帯」+「貯蓄を保有していない世帯」)での平均保有額は1,099万円で、前年から約60万円減少している。
  金融広報中央委員会では、金融資産を保有している世帯と保有していない世帯の「二極化の傾向が強まっている」としており、貯蓄の取り崩しを減らしたり、貯蓄へ回せるだけのゆとりある収入を得られるようになるためにも、早急な景気の回復が望まれる。
【金融資産保有額の年次推移】
【金融資産保有額の年次推移】
金融広報中央委員会「平成15年家計の金融資産に関する世論調査」
2003.10.06
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