>  今週のトピックス >  No.704
約半数の企業で、心の健康問題による欠勤・休職事例がある
  大阪労働局は、メンタルヘルス対策に関する実態調査結果をまとめた。大阪府下の事業場1,500社を対象にアンケートを実施し、811社から回答を得た(回答率54.1%)。その結果によると、心の健康問題が理由で欠勤・休職した労働者がいる事業場が48.7%に達している。
●  規模が大きいほど欠勤・休職事例が多い
  アンケートの結果によると、この1年間に心の健康問題が理由で労働者が欠勤したり、休職したことがあると答えた事業場は、48.7%にも達している。事業場規模別にみると、心の健康問題を理由とする労働者の欠勤、休職事例の有無について「あり」と答えたのは、事業場規模「300人以上」が68%、「100〜299人」が38.3%、「50〜99人」が21.9%、「50人未満」が15.2%となっており、事業場の規模が大きいほど、欠勤、休職事例を有する率が高いことが読み取れる。
  また、メンタルヘルスケアが「必要な労働者がいる」とする事業場は19.7%で、「必要と思われる労働者がいる」とする事業場は33.4%となっており、合計すると53.1%に達する。こちらも同様に、企業規模が大きくなればなるほど該当する労働者がいる率が高くなっている。
  なお、欠勤・休職した事例を有する395社のうち350社の事業場は、現在メンタルヘルスケアが必要もしくは必要と思われる労働者がいると答えていることから、各企業ともおおむね自社の状況を把握できているといえるだろう。
●  主な原因は職場の人間関係
  心の健康問題が理由で労働者が欠勤・休職した事例を有する事業場および、現在、心のケアが必要な労働者がいるとする事業場に心の健康問題の原因を尋ねたところ、「職場の人間関係」が57.3%、次いで「労働者の健康問題」「仕事の質・量」となっている(複数回答)。
  また、心の健康問題を抱える労働者の年齢階層は、「30歳代」が54.7%とトップで、次いで「40歳代」が49.7%、「10・20歳代」が33.9%となっている。リストラが進み、悩みが多いと思われがちな「50歳代」は、「10・20歳代」よりも少ない31.4%という結果となった。
●  労働者が自主的に相談できる体制の整備を
  「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針(メンタルヘルス指針)」について、「内容を知っている」と回答した事業場割合は41.4%で、「公表されたことは知っているが内容は知らない」が36.9%、「公表されたことは知らない」が20.8%であった。
  今後、メンタルヘルスケアを進める上で充実が必要な事項について、「労働者が自主的に相談できる体制の整備」や「管理監督者に対する教育研修や情報の提供」を挙げている企業が多く、大阪労働局では、さらにメンタルヘルスに関する研修会の開催や情報提供などを進め、より普及促進に努めていくとしている。企業側もメンタルヘルスケアに関してこれまで以上に組織的に取り組み、予防の観点からみた積極的な対策が求められている。
(社会保険労務士 庄司 英尚)
【図1  労働者の欠勤・休職事例の有無と、今後のメンタルヘルスケア展開上重要と考える事項の関係】
【図1 労働者の欠勤・休職事例の有無と、今後のメンタルヘルスケア展開上重要と考える事項の関係】
【図2  メンタルヘルスケアが必要もしくは必要と思われる労働者の有無と、今後のメンタルヘルスケア展開上重要と考える事項の関係】
【図2 メンタルヘルスケアが必要もしくは必要と思われる労働者の有無と、今後のメンタルヘルスケア展開上重要と考える事項の関係】
参考資料:大阪労働局発表「メンタルヘルス対策実態調査結果について」
2003.10.14
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