> 今週のトピックス > No.708 |
高齢者の住まいの改造ニーズ | |
〜内閣府「高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」より〜 | |
● 住宅について困っている割合が比較的高いのは借家住まいの人
内閣府の調査によると、全国の60歳以上の人の約64%が、現在住んでいる住宅について困っていることがないと回答した。これを「持家」と「借家」別にみると、「持家」で「何も問題点はない」と回答した割合は約66%なのに対し、借家は約42%にとどまった。
このことから、借家住宅では、住まいに問題がある割合が比較的高いとみることができる(図1)。 【図1 住宅で困っていること(複数回答)】
● 改善・住み替えへの意向は持家と借家で異なる
同じ調査で、今後の住宅の改善・住み替え意向を調べたものが図2である。「あてはまるものがない」を除き、持家と借家別に見ると、「持家」の人における「現在の住宅を改造して住みやすくする」意向と、「借家」住まいの人の「高齢者専用の住宅や施設に住み替える」割合が高いことが注目される。
【図2 今後の住宅の改善・住み替え意向】
● 半数近くが住宅改造を希望
続いて、高齢者向けに将来改造したい住宅の構造・設備について、改造希望が「特にない」が約54%という結果から、残りの半数近くの人が住宅を改造したいと考えていることが分かる(図3)。
改造したい内容は「手すりを設置したい」「住宅内の床の段差をなくしたい」「浴槽を入りやすいものに取り替えたい」「浴室に暖房装置をつけたい」「玄関から道路までの段差を解消したい」などとなっている。 また、健康状態別では「良くない」人で、改造をしたい意向をもつ人の割合が高い。 【図3 将来改造したい構造・設備(複数回答)】
図1〜3の出典:内閣府「高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」(平成13年調査)
● 生活設計に加えたい老後の住まいのための資金準備
わたしたちが老後について生活設計をする際は、生活資金と、ゆとりある生活のための余裕資金を中心に考えることが多い。しかし内閣府の調査では、60歳以上の人の半数近くに住まいの改造ニーズがあるという結果が得られたことから、住宅の改造などの費用も組み込み、設計を考えることが望ましいだろう。
また、借家住まいであれば、高齢者専用の住宅や施設へ入居などのための、資金準備の必要性が高いと考えられる。 |
2003.10.20 |
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