>  今週のトピックス >  No.710
躍進著しい生活協同組合の共済事業
●  安い掛金で信頼がおける共済制度
  厚生労働省の認可・監督下にある「全国労働者共済生活協同組合連合会」(以下、全労済)、「全国生活協同組合連合会」(以下、全国生協連)、「日本生活協同組合連合会」(以下、日本生協連)など、いわゆる消費生活協同組合(以下、生協)の共済事業は、近年、民間生保会社が苦戦を強いられているのを尻目に右肩上がりの状況が続いている。
  これら各生協は、消費生活協同組合法に基づき、生活をより良くしたいと願う人々が自主的に集まり、営利を目的としない事業を行う組織としてスタートした。当初は組合員の福利厚生や生活必需品の販売などを主体としていたが、その後組織基盤の拡大のため組合員の生活全般にわたる保障の事業化に踏み切った。
  生命共済は、全労済が昭和33年に実施したのを皮切りに、昭和57年には全国生協連、昭和59年には日本生協連と相次いで募集を開始した。バブル崩壊後の家計の減収や、国内生保の相次ぐ破たんにより、安い掛金で信頼のおける生協の共済が注目を集めたのも時代の流れといえる。
  全労済は従来、職域を中心とした『団体生命共済』をメインとしていたが、地域戦略の一環として発売した『こくみん共済』は平成14年度末、561万件に達した。また、日本生協連の『CO・OP共済たすけあい』は同じく平成14年度末では387万件となっているが、毎年高躍進が続き、平成8年比では221%となっている。
  さらに『県民共済』や『都民共済』の名で知られる全国生協連は、昨年1年間で主力の生命共済の新規加入者が129万人を超え、今年10月末現在の累計加入者が1,300万人を突破したと報じられた。
  このように躍進が顕著な各生協だが、一般の人は一口に共済といってもその区別や特徴が分かりにくい。中には、かつて破たんした「オレンジ共済」のように、無認可の悪質でいかがわしい共済団体もあり注意を要する。
  その点、厚生労働省認可の消費生活協同組合の共済事業は、いずれも20年以上安定した実績を挙げ、基礎固めができているといえよう。共済は、1年定期の保障商品に重点を置いているため、逆ざやが発生せず、現状では不良債権とも無縁である。もっとも、生協により商品内容や掛金、割戻率(配当金)などが異なるため、加入に際しては比較・検討した方がベターである。
●  販売チャネルのバラエティー化で目が離せない
  全国生協連は高齢時代に対応し、この10月から65歳以降の熟年世代の保障をより充実させた商品を発売した。PRは新聞折り込み広告以外に、専任の普及員がポスティングを実施している。日本生協連は顧客の中心が主婦層のため、女性と子どもにターゲットを絞った商品に重点を置き、全国に900名が登録されているLPAおよび配送担当や店舗の販売担当が情報収集活動を行っている。全労済は職員のFP資格取得を推進し、対面販売をするアドバイザーの起用やコンビニでの申し込みなど、よりきめ細かな販売にもシフトしている。
  今までは広告や口コミなどによる直接の申し込みが大半であった生協共済だが、販売チャネルがバラエティー化しつつあり、その動向は民間生保会社にとっても目が離せないといえる。
2003.10.20
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