>  今週のトピックス >  No.713
大手企業の年末ボーナス、6年ぶり増加の見込み
  財団法人労務行政研究所がこのほど公表した、大手企業の2003年年末一時金動向調査(中間集計)によると、大手企業の今年の冬季ボーナスの支給見込額は64万9,818円となった。対前年同期比0.7%の微増で、実に6年ぶりに上昇する見込みだ。
  なお、この調査は、東証1部上場企業のうち、夏冬型の年末協定で年末一時金が決まっている企業274社を対象に行われたものである。
●  金額で対前年同期比4,414円の上昇
  同研究所が9月30日現在でまとめた年末一時金の支給水準は、全産業274社平均で64万9,818円となり、同一企業でみた昨冬の妥結実績(64万5,404円)と比較して、金額で4,414円の上昇、伸び率では、0.7%の微増であるが、1997年以降、6年ぶりの上昇となったことは注目すべき点である。
  製造業と非製造業でみると、それぞれ66万625円、59万7,622円となっており、伸び率は、製造業が1.6%増、非製造業が3.9%減と、はっきりと明暗が分かれた。
  これをさらに細かく見ていくと、伸び率が高いのは上位から、「鉄鋼」「ゴム」「輸送用機器」となっており、一方、業界再編などで苦しい「建設」「陸運」および「ガラス・土石」はマイナス成長となった。特に非製造業は全業種ともマイナスだったが、製造業が全体的に好調だったために、全産業でみるとわずかながらプラスの結果となった。
●  平均支給月数は2.27カ月
  年末一時金支給月数(支給月数の分かる87社平均)の分布状況をみると、「1.5〜1.9カ月台」が19.5%と最も多く、次いで2.0カ月台が17.2%で、分布の傾向は昨年と比べても大差はない。
  年末一時金の支給月数の増減傾向をみると、2002年の月数と比較して「月数増」と答えた企業は3社に1社(33.3%)で、「同月数」と答えた企業もほぼ同数だったため、併せて7割弱が前年実績以上の年末一時金を支給することになる。また2002年は「月数減」と答えた企業が86.3%なのに対し、2003年が34.5%と減少したことは、今回の調査結果において一番はっきりと業績の改善傾向が表れているといえる。
●  最終的には前年と同じ水準か、若干上回る見込み
  今年9月に大和総研が発表した企業業績見通しによると、金融を除く全産業ベース連結経常利益は、2003年度において15.2%の増益を予想しており、設備投資も、2002年度の11.8%減から4.8%増に転じる見込みである。
  これらをふまえて労務行政研究所は、製造業に回復の兆しが見えてきたこともあり、これから交渉に臨む今期交渉組の分を含めた2003年年末一時金の最終支給水準が、前年の支給水準と横ばいないしは、わずかに上回るものと予想している。
  今回の調査結果をみると、全体的には各企業の業績が徐々に回復しているように思われがちだが、この調査の対象にはなっておらず、ボーナスを支払うのも厳しい中小企業がたくさんあるということを念頭に入れておくべきだろう。
参考資料:労務行政研究所「大手企業の2003年 年末一時金(ボーナス)の動向」
(社会保険労務士  庄司 英尚)
2003.10.27
前のページにもどる
ページトップへ