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外部の支援を受ける意識が広がった在宅介護
〜内閣府「高齢者介護に関する世論調査」より〜
●  将来の自分の介護について、外部の手を望む割合が増加
  内閣府は、男女20歳以上の高齢者介護に関する意識を調査し、「高齢者介護に関する世論調査」として発表した。平成7年の同調査の実施から8年の間に、高齢者介護について、人々の意識がどう変化したかを見ることができる。
  図1は、仮に自分自身が老後に寝たきりや痴ほうになり、介護が必要になった場合に、自宅で介護を受けるとしたらどのような形の介護を望むかの結果である。前回の平成7年と比べると、「家族だけに介護されたい」人が25%から12%に減少し、「ホームヘルパーなど外部の者の介護を中心とし、あわせて家族による介護を受けたい」が22%から32%、「ホームヘルパーなど外部の者だけに介護されたい」が3%から7%とそれぞれ増加しており、家族以外の人に介護してもらうことに対し、違和感を持たない人が増えている。
【図1 望ましい在宅での介護形態】
【図1 望ましい在宅での介護形態】
●  親の介護を子がすべきと考える割合が低下
  同じ調査で一般論として、親が寝たきりや痴ほうになったとき、子が親の介護をすることについてどう思うか聞いた結果を図2に示した。平成7年と比べると、「子供が親の介護をすることは当たり前」が57%から49%に減少した一方で、「子供だからといって、必ずしも自ら親の介護をする必要はない」が、29%から36%に増加した。
  平成15年全体では、「子供が親の介護をすることは当たり前」が「必ずしも親の介護をする必要はない」を上回っている。しかし男女別・年代別にみると、50歳代の女性では、「必ずしも親の介護をする必要はない」が、「子供が親の介護をすることは当たり前」を上回っている。
【図2 親の介護を子が自らすべきか】
【図2 親の介護を子が自らすべきか】
<男女別・年代別(平成15年7月)>
<男女別・年代別(平成15年7月)>
図1、2の出典:内閣府「高齢者介護に関する世論調査」
  図1、2から、自分や親の介護について、外部の支援を受ける意識が広がっているとみることができる。外部の支援を受ける意識が広がった背景には、平成12年4月から介護保険法が施行され、公的介護保険による居宅サービスを利用する人が増えてきたことがあると考えられる。
●  居宅介護サービスに伴う出費
  しかし、公的介護保険による居宅サービスであっても、利用者負担が0円とは限らない。図3は、介護を要する人のいる世帯で、介護保険制度による居宅サービスを受けたときの費用の有無を示しており、66%の世帯で費用を払っている。また、表1は65歳以上の要介護者のいる世帯における利用者の平均負担額である。
「居宅サービスの費用」は、利用者負担額で保険対象分、利用者負担額で全額負担分、その他の利用料の合計。
【図3 介護保険制度による居宅サービス費用の有無】
【図3 介護保険制度による居宅サービス費用の有無】
出典:厚生労働省「平成13年 国民生活基礎調査」
【表1 介護保険制度利用者の平均負担額】
(単位:円)
【表1 介護保険制度利用者の平均負担額】
出典:厚生労働省「平成15年版 厚生労働白書」
●  民間の介護保険による準備の検討も必要
  公的介護保険の居宅サービスを使えば、自分が将来要介護状態になったときの家族の労力や時間、親の介護のための自分の労力や時間について、負担を軽くすることができるだろう。しかし図3、表1から、公的介護保険の居宅サービスを利用する場合でも、何らかの支払いがあることから、公的介護保険に加えて、民間の介護保険などで準備する必要性は高いといえよう。
2003.11.10
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