>  今週のトピックス >  No.721
労働局長の助言・指導は、前期比125%の大幅増加
  愛知労働局は、このほど「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(以下、個別労働紛争解決法)」に基づく制度の平成15年度上半期の利用状況をまとめた。それによると、平成15年4〜9月の労働局長による助言・指導の受付件数は45件と、前期比125%の大幅な増加となった。紛争調整委員会によるあっせん申請も、前期比40%増の125件を受理している。
  平成13年10月1日に個別労働関係紛争解決法が施行されてから2年間が経過したが、利用状況については全体的に増加傾向にあることが読み取れる。
●  愛知県下における総合労働相談は、1万4,448件
  愛知労働局では、個別労働関係紛争解決法に基づく個別労働紛争解決制度を運用するため、総務部企画室内の総合労働相談コーナーのほか、愛知県下16カ所に総合労働相談コーナーを置いている。ここではあらゆる労働関係の相談に対応し、紛争の解決方法・処理機関についての情報を提供している。
  総合労働相談コーナーに寄せられた相談は平成15年度上半期半年間で、1万4,448件となった。相談件数は前期(平成14年10月1日から平成15年3月31日まで)に比べると2.5%の減少となったものの、前年同期に比べると増加している。
●  労働局長の助言・指導の受理件数は、前期比125%の増加
  総合労働相談コーナーに寄せられた相談のうち、労使の話し合いで解決できなかった事案については、民事上の労使間の個別紛争解決を図るための裁判外紛争処理制度として労働局長が助言・指導を行う制度と、紛争調整委員会があっせんを行う制度の二つがある。
  今回の発表によれば、前述のとおり、労働局長の助言・指導の受理件数は45件で、前期比125%の大幅な増加となった。一方、紛争調整委員会によるあっせんの受理件数は125件で、前期比40%の増加となった。
●  解雇に関する相談が大幅に増加
  平成15年度上半期で新規に申し出を受け付けた労働局長の助言・指導件数の内訳は「解雇」に関するものが44.4%と最も多く、次いで「労働条件の引き下げ」が22.2%と続いている。前年度は「労働条件の引き下げ」に関する申し出が34.7%と最も多かったが、平成15年度は「解雇」に関する申し出が大幅に増加した。
  愛知労働局が受理したあっせん申請は125件だが、主な申請内容は、「解雇」45.6%、「退職勧奨」9.6%、「その他の労働条件」8.8%、「労働条件の引き下げ」7.2%、「いじめ・嫌がらせ」6.4%となっており、前年度と比較して解雇や退職勧奨にかかる申請が大幅に増加している。
  平成16年1月から改正労働基準法が施行されるが、解雇が客観的かつ合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合、解雇は無効になる。しかし、今回の改正内容では、労使紛争をくい止める手立てにはなりにくい。
  今後、ますます解雇に関する相談が増加し、労働局長の助言・指導や紛争調整委員会のあっせんを利用する人が増えることが予想されるので、労働局としてもさまざまな対策を練っておく必要がありそうだ。
参考資料:愛知労働局発表「平成15年度上半期の個別労働紛争解決制度の利用状況」
(社会保険労務士  庄司 英尚)
2003.11.10
前のページにもどる
ページトップへ