>  今週のトピックス >  No.723
人間より高い? ペット保険の保険料
●  犬、猫の飼育頭数は横ばいでも、ペット関連事業は急成長
  ペットフード工業会の調べによると、2002年度における犬の飼育頭数は952.3万頭で、猫は711.9万頭、合計1,664.2万頭となっている。3割近くの世帯で犬か猫を飼っているといわれているが、ここ数年は、グラフのように飼育頭数、飼育率とも横ばい状態が続いている。
  しかし、単なる愛玩動物としてのペットから、家族同様の存在であるコンパニオンアニマルとしての傾向が強くなっており、ペットにかける費用は年々増えているのが現状だ。
  こうした飼い主の要望を満足させるため、今、新たなペット関連事業が急成長している。東京では犬・猫専用のメニューが用意されたレストランがオープンして話題を呼んだが、このほかにも、ペットホテルやヘルスケア、ペットシッターや美容院など、ニュービジネスは百花繚乱(りょうらん)の様相を呈している。
  少子・高齢化の影響は、ペットに癒しを求める人の増加にも繋がり、従来は考えも及ばなかった新たなビジネスが、今後も登場すると思われる。その一例がペット保険で、互助会的なスタートから試行錯誤を経て、現在は魅力的な商品を次々と開発している。ペット保険は新規参入の業者も多く、競争が激化してきている。
【犬猫飼育頭数および飼育率の年次推移】
【犬猫飼育頭数および飼育率の年次推移<犬>】
【犬猫飼育頭数および飼育率の年次推移<猫>】
飼育率・・・調査対象世帯のうち、犬および猫を飼っている世帯の割合。
ペットフード工業会「犬猫飼育率 全国調査・ペットフード産業実態調査」
●  飼い主のニーズから生まれたペット保険
  現在、日本でペット保険を取り扱っている会社は、ほとんどが小規模な事業体のため、実態は不明確だが約20社といわれている。業界最大手のN社は創業19年で、加入頭数は約6万頭だという。それでもペット保険が急成長しているイギリスやスウェーデンに比べると、加入率は極めて低い。それだけに、日本におけるペット保険の今後の成長が期待され、飼い主のニーズに応じたさまざまな商品が開発されている。
  保障内容は、けがや病気による入院、通院日額が5,000円〜1万円、死亡保険金が3万〜5万円程度が一般的で、そのほかにも「がん給付金」「高度後遺症障害給付金」「手術給付金」など、至れりつくせりとなっている。保険料は年齢制限(会社により7歳〜10歳未満。一部の会社では年齢階級別に保険料を設定しているものもある)があるものの、同一保険料で月額2,000円〜3,000円が多い。
  問題は、ペットの健康状態や予防接種状況、年齢などを記載した告知書の提出を求められているが、人間と異なり住民票などがないため、告知義務違反があったとしても確認が困難なことである。また、一定以上の加入ペット数がなければ、保険数理上、安定が得られず、数件の請求事故で赤字になってしまう危険性もある。
  業界では今までトラブルはほとんどないとコメントしているが、今後加入者が増えるにつれて諸問題が発生する可能性は高い。そのため加入に際しては、保険取扱会社を十分調査することが必要だろう。しかし、決算報告などのディスクロージャー誌を開示しているところは皆無に等しく、判断するには創業の歴史、加入頭数などを確認した方がいいといえる。
  県民共済など月額1,000円から加入できる人間の保険より、2倍も3倍も高いペット保険。それでも健康保険の利かないペットの高額な医療に不安を持つ飼い主の加入は、後を絶たない。
2003.11.17
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