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SARSと天然痘が災害死亡保険金の支払事由に追加
●  国の権限が強まった改正感染症法が施行
  11月5日に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下、改正感染症法)が施行された。この冬、再流行の可能性もあるSARS対策として法改正が急がれたものである。
  改正感染症法は、「重症急性呼吸器症候群(SARS)」などの輸入感染症対策の強化を目的としたもので、SARSと天然痘を、エボラ出血熱などと同レベルの危険度が最も高い感染症である1類に指定した。これによりSARS患者だけでなく、感染の疑いのある人まで含めて、入院などの強制措置を取ることが可能となった。
  また、感染症対策は本来都道府県の自治事務になっているが、改正感染症法では、国も緊急時に感染経路などの独自調査に乗り出すことができるようになった。
  さらに、従来危険度に応じて1類から4類に区分していた感染症を5分類に再編した。このうち新たに設けられた新4類には、これまで強制措置が取れなかった動物が原因となる感染症を当てはめ、原因となる動物の輸入禁止や駆除の措置が取れるようになった。
  生命保険では、約款に定める所定の感染症を原因として被保険者が死亡した場合、災害割増特約や傷害特約などから災害死亡保険金が支払われる。ここでいう所定の感染症とは、旧感染症法に規定する1類から3類までの感染症のことで、今回の改正感染症法により、SARSと天然痘が災害死亡保険金の支払事由に追加されることになった。なお、支払事由が増えたことによる保険料の改定はない。
  また、特別条件付契約で保険金の削減支払が適用される場合でも、災害または所定の感染症を原因とする死亡のときには保険金の削減はない。この場合も前述の特約などと同様にSARSと天然痘が所定の感染症に含まれることになる。
  今回の改正に伴い、特約約款の構成上、金融庁の認可を必要とする会社と特段の手当てをしなくても適用範囲が拡大される会社とに分かれる。前者の場合、改正感染症法の施行日以前の既契約にも遡及適用されるため、新旧の契約における適用範囲の差異は生じない。
【改正感染症法の対象疾患】
1類
エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、SARS天然痘
2類
急性灰白髄炎(ポリオ)、コレラ、細菌性赤痢、ジフテリア、腸チフス、パラチフス
3類
腸管出血性大腸菌感染症
注)4類、5類は省略
2003.11.25
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