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法人の黒字申告割合が30.3%と過去最低に
●  不況を反映し赤字申告が増加
  国税庁から、平成14事務年度(平成14年7月1日〜平成15年6月30日)における課税事績がいくつか公表されている。このうち法人税では、平成14事務年度末(平成15年6月30日)現在の法人数289万6,000法人(前年度比▲約1万2,000法人)のうち、黒字申告をした法人の割合が30.3%となった。これは、調査を開始した昭和42事務年度以来、過去最低の数字であり、長引く経済不況の実態を強く反映するものとなった。
  申告の状況を見てみると、申告所得金額は35兆299億円(前年度比▲1兆1,683億円)で、黒字申告1件当たりでは4,168万円(前年度比▲87万円)であった。(表1)また、申告欠損金額は33兆116億円(前年度比2兆916億円増)で、赤字申告1件当たり欠損金額は1,707万円(前年度比88万円増)となっている。
  申告所得金額は、黒字申告割合と同様に前年度に比べて減少し、反対に申告欠損金額は、赤字申告割合と同様に前年度に比べて増加した。株価や長期金利の上昇など、緩やかな景気回復が感じられるものの、まだまだ現実は甘くはないといったところだろうか。
  ちなみに、平成14事務年度における申告税額は9兆3,500億円(前年度比▲2,652億円)となっている。
【表1 申告の状況】
 
平成13事務年度
平成14事務年度
項目(単位)
件数等
前年対比
件数等
前年対比
申告件数(千件)
2,715
100.5
2,723
100.3
申告割合(%)
89.7
0.7
89.0
0.7
黒字申告割合(%)
30.9
0.2
30.3
0.6
申告所得金額(億円)
361,982
84.8
350,299
96.8
黒字申告1件当たり所得金額(千円)
42,555
84.5
41,681
97.9
申告欠損金額(億円)
309,200
113.7
330,116
106.8
赤字申告1件当たり欠損金額(千円)
16,196
112.6
17,072
105.4
  また国税庁は、不正計算が想定される法人など12万2,000件に対して実地調査を行い、その結果を公表している。このうち73%に当たる8万9,000件で更正・決定等が行われ、2万5,000件で不正計算が指摘された。不正計算は全体の5件に1件という割合である。
  ちなみに不正発見割合の高い上位3業種は、「バー・クラブ」「パチンコ」「書籍、雑誌販売」であった。(表2)
【表2 不正発見割合の高い10業種】
順位
業種目
不正発見割合(%)
不正申告1件当たりの
不正脱漏所得金額(千円)
前年
順位
1
バー・クラブ
54.6
23,176
2
2
パチンコ
47.5
56,111
1
3
書籍、雑誌販売
32.6
7,590
4
4
廃棄物処理
32.2
20,354
3
5
外国料理
27.9
9,775
6
一般土木建築工事
27.7
13,310
6
7
土木工事
27.1
11,087
5
8
自動車、自転車販売
25.3
5,999
9
建築工事
24.6
10,658
9
農業・畜産
24.6
10,788
表1、2の出典:国税庁ホームページ
更正・決定
 
更正…
確定申告書などの提出があった場合に、税務署が調査したところと違っているときに行う処分
 
決定…
確定申告書などを提出しなければならない人がその申告書を提出しなかった場合に、税務署が所得金額や税額を決める処分
2003.11.25
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