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有給休暇の取得率が過去最低に
  厚生労働省は11月12日、「平成15年就労条件総合調査の概況」を発表した。この調査は、主要産業における企業の賃金制度、労働時間制度、労働費用、福祉施設制度、退職給付制度などについて総合的に調査し、日本の労働条件に関する現状を明らかにするために行われているものである。
  調査結果によると、年次有給休暇の取得率は、過去最低だった昨年を下回り、48.1%となった。
●  労働者が取得した平均有給休暇日数は8.8日
  1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数は除く)は、労働者1人平均18.2日(前年18.1日)となっている。そのうち労働者が取得した日数は前年と同水準の8.8日で、取得率は48. 1%(同48.4%)となり、過去最低だった。
  産業別に取得状況をみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が取得日数15.1日、取得率76.7%で最高となっている。一方、取得日数が少なく、取得率も低いのは、「建設業」の6.4日(35.1%)、「卸売・小売業、飲食店」の6.5日(36.8%)、「金融・保険業」の7.0日(35.6%)となっている。(グラフ参照)
  有給休暇の取得率が低い「金融・保険業」は、産業別にみると1企業の平均年間休日総数が一番多く、120日となっている。反対に一番少ないのは「運輸・通信業」で、97.7日となっている。
【労働者1人平均年次有給休暇の取得状況】
【労働者1人平均年次有給休暇の取得状況】
●  完全週休2日制を採用している企業割合は35.9%
  この調査結果による主な週休制の形態をみると、「何らかの週休2日制」を採用している企業数割合は88.4%(前年 90.3%)となっている。
  これを企業規模別にみると、「1,000人以上」の企業で95.3%、「300〜999人」94.7%、「100〜299人」92.0%、「30〜99人」86.6%となっており、企業規模が大きいほど、「何らかの週休2日制」を採用している割合が高いことが分かる。また、産業別にみると、「金融・保険業」は98.6%で、ほかの産業と比べて高いのに対し、「運輸・通信業」は、75.8%と、まだまだ週休2日制は浸透していないといえる。
  「完全週休2日制」を採用している企業数割合は35.9%となっており、前年(33.7%)より増えている。
  これを労働者数割合でみると、「何らかの週休2日制」が適用されているのは91.3%、「完全週休2日制」が適用されているのは57.1%となっている。
●  組織の活性化に特別休暇制度の導入を
  近年、リフレッシュ休暇制度やボランティア休暇制度がある企業が増加しているが、企業規模が小さいところでは、まだまだ導入できていないのが現状だ。調査結果を見ても、リフレッシュ休暇を導入している企業数割合は、「1,000人以上」の規模では54.3%だが、「30〜99人」規模では8.3%にすぎない。同様にボランティア休暇制度を導入している企業数割合は、「1,000人以上」の規模では17.2%だが、「30〜99人」規模ではわずか1.6%である。
  終わりが見えない不況の時代が続くと、しばらくの間ベアや定期昇給が行えないという中小企業も多い。しかし、人と組織を活性化させるためには、これらの特別休暇制度の導入を検討してみることも必要ではないだろうか。
参考資料:厚生労働省「平成15年就労条件総合調査の概況」
(社会保険労務士  庄司 英尚)
2003.11.25
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