>  今週のトピックス >  No.733
パートタイムとして働く女性の現状
【図1 短時間雇用者の男女別割合】
●  短時間雇用者のうち、女性の割合は約7割
  総務省の「労働力調査」では、15歳以上の人の就業・失業の状態を調べ、一週間の就業時間が35時間未満の人を「短時間雇用者」と区分している。平成14年の短時間雇用者の男女比は、男性31%、女性69%と、女性が7割弱を占めた。(図1)ここでは、女性のパートタイムなど短時間雇用者の数の状況や賃金についてみていこう。
●  働く女性に占める短時間雇用者の割合は増加
  図2は女性の雇用者の総数と、そのうち短時間雇用者の割合の推移を示している。女性の短時間雇用者の割合は、昭和61年の約23%から、平成14年には約40%弱へ増加し続けている。この間、女性の雇用者総数は約36%増加しており、うち短時間雇用者は約137%、一般の(短時間以外の)雇用者は約6%増加であり、女性の短時間雇用者の増え方が大きかったことが分かる。
【図2 女性雇用者中に占める短時間雇用者の割合の推移】
【図2 女性雇用者中に占める短時間雇用者の割合の推移】
図1、2の出典:
総務省「労働力調査」
(厚生労働省『平成14年版 女性労働白書』(財団法人21世紀職業財団発行)より)
●  女性パートタイム労働者の半数は、正社員として働く意向を持っている
  それではどのような理由から、多くの女性がパートタイムなどの短時間労働を選んだのだろうか。
  図3は、女性のパートタイム労働者が非正社員を希望した動機を年齢別に示している。これは、最近10数年間にパートタイム労働者が増えた理由を直接示すものではないが、女性パートタイム労働者の意向を知る上である程度の推測が可能になる。
  20歳代の女性で多い理由は「正社員として働きたかったが、希望にあう勤務先がなく、やむを得ず非正社員になった」で、最近10数年間に企業の採用抑制姿勢が強まった影響が表れていると考えることができる。また、先の理由と、30歳代から40歳代前半で回答の増加がみられる「自ら進んで非正社員になったが、育児・家事・介護がなかったら正社員を希望した」を合計すると、各年代でおおむね5割に達しており、半数の女性は「希望にあう勤め先」があり、「育児・家事・介護」といった家庭のやむを得ない事情が許せば、正社員として働きたかった人々であることが分かる。
【図3 女性のパートタイム労働者が非正社員を希望した動機】
【図3 女性のパートタイム労働者が非正社員を希望した動機】
(注)
財団法人21世紀職業財団「多様な就業形態のあり方に関する調査」をもとに、厚生労働省が女性のパートタイム労働者を再集計したもの。
出典:
厚生労働省『平成13年版 女性労働白書』(財団法人21世紀職業財団発行)より
●  一般労働者との賃金格差
  次に、女性のパートタイム労働者と一般労働者の賃金をみてみよう。図4によると、女性パートタイム労働者と女性一般労働者の賃金格差は拡大傾向にある。
「賃金構造基本統計調査」における「パートタイム労働者」とは、同一事業所の一般労働者より1日の所定労働時間が少ないか、1日の所定労働時間が同じで1週の所定労働日数が少ない人をいう。
【図4 女性パートタイム労働者と女性一般労働者の賃金格差の推移】
【図4 女性パートタイム労働者と女性一般労働者の賃金格差の推移】
(注)
一般労働者の1時間当たりの平均所定内給与額は次式により算出した。
1時間当たりの平均所定内給与額=平均所定内給与額/平均所定内実労働時間数
出典:
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
(厚生労働省『平成14年版 女性労働白書』(財団法人21世紀職業財団発行)より)
  希望に合う勤め先がなかったり、育児・家事・介護などによって、やむを得ずパートタイムを選ぶ女性が多い一方で、パートタイムの賃金を正社員などと比べた格差は、広がってきていることが分かった。パートタイム労働者と一般の労働者の賃金格差の改善について、また、勤務時間に制約があっても正社員として働ける体制の整備について、今後、企業や政府は長期的に取り組んでいくことが望まれる。
2003.12.01
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