>  今週のトピックス >  No.743
新規に就職した母親の約65%がパート・アルバイト
  厚生労働省が、12月12日に発表した「第2回21世紀出生児縦断調査の概要」によると、子どもが1歳半になった時点で働いている母親は31.1%で、1年前の生後6カ月時点(育児休業中の人も含む)より6.1ポイント増えている。また、1年前に無職で今回までに働き始めた母親の仕事は、パートやアルバイト勤務が6割強を占めている。この調査は、平成13年度から実施を始めた承認統計であり、2001年に出生した子の実態および経年変化の状況を継続的に観察することにより、少子化対策等厚生労働行政施策の企画立案、実施等のための基礎資料を得ることを目的としており、今回は、その2回目の調査である。
●  就業している母は、31.1%
  母の1年前(第1回調査)および現在(第2回調査)の就業状況を調査した結果によると、現在(第2回調査)の母の就業状況は、「無職」68.4%、「有職」31.1%で、1年前(第1回調査)より「有職」の割合が増えている。また新たに職に就いた者(1年前に「無職」で現在「有職」12.7%)のうち、64.9%は「勤め(パート・アルバイト)」で、「勤め(常勤)」は、13.2%にとどまった。
●  父の育児で「入浴」に関しては、「いつもする」が36.2%
  父の育児は1年前(第1回調査)に比べ、一部を除いて「いつもする」の割合が増えている。「入浴させる」は、「いつもする」が36.2%で、「ときどきする」の48.7%をあわせると、約85%の父親が入浴させている。
  また入浴以外でも、「家の中で遊び相手をする」も「いつもする」が45.0%で「ときどきする」が49.0%となっており、父親も育児にかなり協力的であることが判断できる。
●  子育て費用 月額「1万円」が39.5%
  1カ月間にかかった調査対象児の子育て費用は、「1万円」の割合が、39.5%で、1年前の32.0%から大きく伸びている。同様に「2万円」は、20.8%、「3万円」は、9.4%となっている。平均費用についても、1年前は4.1万円だったのに対し、2.8万円と子どもが成長するにつれて、負担も軽くなっているようだ。これを父母の総収入別にみると、たとえば、800万以上の場合、「1万円」の割合は、32.1%と少なくなるが、逆に「5.5万円以上」の割合は、22.1%(平均は、9.8%)と急増している。やはり年収が高くなればなるほど、その分ゆとりもでき、育児にかける費用も比例して増えるといえる。
●  育児休業 特別な事情があれば1年半に延長
  厚生労働省は、法律で保障する育児休業の取得期間を現在の最長1年から最長1年半に延ばす方針を固めた。具体的には、子どもが保育所に入所できないなど「特別の事情」がある場合に限り、6カ月まで延長を認めることとしている。
  育児休業は、1歳未満の子どもを持つ親に連続休暇を認める制度で、平成4年4月1日に施行された。復職することが前提条件であるが、休業している間は、無給であれば、雇用保険から賃金の約4割が約1年間支給されるので利用価値は非常に高い。
  今回の調査結果を見る限りでは、まだまだ女性の出産後の仕事復帰は、パートタイマーなどが多いといえる。育児休業制度を利用して普通に正社員のまま復帰する予定であっても、実際に子育てに入ると、いろいろ大変なので復帰を断念してしまうケースも多いようだ。そこで忘れてはならないのは、育児休業は父親もとれることである。しかし現実には子どもを昨年生んで育児休業を取った女性が64%であるのに対して、男性はわずか0.33%である。この数字が示すように、まだまだ男性が育児休業を気軽に取れるような社会にはなっていないことは事実であろう。今後は、少子化対策も含めて政府がこの問題に対し、どのような対策を打ち出していくのかは、大変興味深いところである。
参考:厚生労働省「第2回21世紀出生児縦断調査の概況」
(社会保険労務士  庄司 英尚)
2003.12.24
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