>  今週のトピックス >  No.746
就業者数減少の背景について
〜総務省「労働力調査」(平成14年)より〜
●  就業者数は平成9年以降減少の傾向
  総務省が発表する「労働力調査」は、15歳以上の人の就業・失業の状態を調べている。労働力調査の就業者*1数は、平成9年の6,557万人から緩やかに減少しており平成14年には227万人減の6,330万人に。一方、15歳以上人口は増加を続け、平成9年から266万人増加し10,927万人(平成14年)となっている。しかし15歳以上の人が増えたにもかかわらず就業者数が減少している要因について考えてみたい。
●  要因の一つは人口の高齢化
  15歳以上の人の数が増えたにもかかわらず就業者数が減少している要因として、15歳以上の人のなかで高年齢の人の割合が増えた可能性を考えることができる。表1は年齢3区分別人口の割合の推移である。65歳以上の人の割合が12.1%(平成2年)から18.5%(平成14年)へ上昇していることから、高年齢の人の割合が増えたことが、就業者数減少の要因の一つとして考えることができるだろう。
●  完全失業者の増加
  続いて、失業者の動向と就業者の減少を関連させて考えてみたい。完全失業者数は年々増加を続け平成3年時点で136万人であったのが、平成14年には約2.6倍の359万人になっている。完全失業者*2は、働くことができる状態で、調査期間中に求職活動をしたが働けなかった人である。このことから、仕事を探しても仕事に就けない人が増えたことも、就業者数が減少した要因にあげることができるだろう。
●  長期的に懸念される高齢化の影響
  就業者数が減った主な要因として、人口の高齢化と完全失業者の増加をあげることができるが、今後はどうなるだろうか。完全失業者数は、一般的に景気や企業の採用姿勢の変化によって変動するので予想は難しい。しかし、高齢化は今後も長期的に影響が続くと見られる。高齢化による働く人の数の減少を食い止めることは容易ではないだろう。今後は、高齢者や既婚女性の就業を促す制度整備等を検討することが必要だろう。
【表1 年齢(3区分)別人口割合の推移(各年10月1日現在)】
(%)
 
総 数
0〜14歳
15〜64歳
65歳以上
平成2年
100.0
18.2
69.7
12.1
平成7年
100.0
16.0
69.5
14.6
平成8年
100.0
15.6
69.3
15.1
平成9年
100.0
15.4
69.0
15.7
平成10年
100.0
15.1
68.7
16.2
平成11年
100.0
14.8
68.5
16.7
平成12年
100.0
14.6
68.1
17.4
平成13年
100.0
14.4
67.7
18.0
平成14年
100.0
14.2
67.3
18.5
総務省「国勢調査」「我が国の推計人口」「平成13年10月1日現在推計人口」「平成14年10月1日現在推計人口」
*1
労働力調査の「就業者」
(1)調査週間中に収入を伴う仕事を1時間以上した人、(2)仕事を持ちながら、調査週間中に少しも仕事をしなかった人のうち、雇用者で給料・賃金の支払いを受けているまたは受けることになっている人、自営業主で自分の経営する事業を持ったままで、その仕事を休み始めてから30日にならない人をいう。家族従業者の場合は無給であっても就業者とするが、調査期間中に少しも仕事をしなかった家族従業者は就業者としない。
*2
労働力調査の「完全失業者」
(1)仕事がなくて調査期間中に少しも仕事をしなかった、(2)仕事があればすぐ就くことができる、(3)調査期間中に仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた、の3条件を満たす人。
参考:総務省「労働力調査年報(平成14年)」
2003.12.24
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