>  今週のトピックス >  No.747
1割に満たないカルテの開示
●  まだ進んでいない医療機関の情報開示
  自分のカルテ(診療録・看護記録・検査記録・X線写真等)の内容を知りたいと思っている人は多いが、実際に見せてもらったことがある人は、外来9.0%、入院8.7%に過ぎない。
  2003年12月16日に公表された厚生労働省の「平成14年 受療行動調査の概況」によると、カルテ開示の状況について必ずしも進んでいない実態が明らかになった。
  自分のカルテの内容を知りたい人は、外来で69.1%、入院では67.6%と7割近くになっている。その理由としては入院の場合、(1)「受けている治療について理解を深めたい」(43.4%)、(2)「病名・病状・治療内容などについて本当のところが知りたい」(27.3%)、(3)「内容に興味があるから」(13.3%)、(4)「訴えが理解されているか確認したいから」(6.7%)の順となっている。医療事故や薬害が社会問題になっている中、患者の不安を反映した内容である。
  これに対し、自分のカルテを自ら要望して「見せてもらったことがある」のは、外来9.0%、入院8.7%に止まっており、「知りたい」という要望と大きなギャップを生じている。
  日本医師会では、カルテ開示を行わない病院に対しては責任を持って指導することを宣言しており、もし、カルテ開示請求をして対応の悪い病院や医師があった場合は、日本医師会や地元の医師会に連絡をすることが望まれる。
【カルテ開示の有無】
【カルテ開示の有無】
厚生労働省「平成14年 受療行動調査の概況」
●  高まるレセプトの開示請求運動
  病院で支払う医療費(自己負担分)の詳細な明細書は通常もらえない。厚生労働省では、レセプト(病名のほか薬剤名、処置名、検査名などが単価とともに記載)を患者に見せないように指導してきたが、現在は国民の権利意識の高まりや医療被害者の運動などで、本人や遺族などに開示されることになっている。連合では2003年12月18日、約680万人の加盟組合員に対し、レセプトの開示を求めるよう働きかけることを決めた。
  医療事故の防止や無駄な医療費節約のために、カルテやレセプトの開示を含めた医療情報の公開・開示を求める声は今後も高くなってきそうだ。
2004.01.05
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