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2004年度 税制改正大綱について考える
  2004年度税制改正大綱が、自民党・公明党によって組織されている与党税制協議会によって2003年12月17日に正式決定された。今回は、その税制改正大綱について考えてみる。
  まず、全体的な特徴は
  1. 昨年の証券税制の減税や相続時精算課税制度のような大幅改正はほとんどない。
  2. 高齢者の所得控除関連を中心に個人にとって増税となる改正(もしくは今後増税となる可能性があるもの)が多い。
  3. 地方分権への対応として、所得税から住民税への財源移譲が一部実施された。
の以上3つが挙げられる。
  では、今回の税制改正が施行された場合に、増税となる改正で特に個人に大きな影響を与えそうなものを大きく3つに区分して一覧にすると次のようになる。
(1)各種控除および所得控除に関する改正 → 所得税の増税
改正となるもの
対象者
影響額
適用時期(予定)
公的年金控除
高齢者(65歳以上)
最低控除額は120万円へ
(現在は140万円)引き下げ。
2005年1月
老齢者控除
年間所得1,000万円以下
の高齢者(65歳以上)
所得税の所得控除50万円
住民税の所得控除48万円
2005年1月
(2)住宅ローン減税に関する改正 → 所得税の増税
  年間所得3,000万円以下の新規住宅(一定の要件を満たす住宅に限る)購入者に対する税額控除は次のように段階的に縮小され増税となる予定である。
適用居住年月日
控除可能期間
最大控除可能額
2004年1月1日
10年間
500万円
2005年1月1日
10年間
360万円
2006年1月1日
10年間
255万円
2007年1月1日
10年間
200万円
2008年1月1日
10年間
160万円
(3)地方税(住民税)に関する改正 → 住民税の増税
改正となるもの
対象者
影響額
適用時期(予定)
市町村民税部分
課税対象者全員
最大で年間1,000円の増税
2004年6月
非課税措置廃止
住民税均等割の納税義務を負う夫と生計をいつにしており、年収100万円超かつ夫と同一の市町村に住所がある妻
年間4,000円の増税
2005年度は、課税措置を1/2へ軽減、2006年度以降は完全適用。
  さらにこの大綱には、今後の検討事項として
(1)生損保保険料控除の見直し
(2)個人住民税の均等割の税率の標準税率の適正な見直し
などの増税項目が挙げられていることは非常に注目すべきことである。
  一方で、減税となる改正は、「確定拠出年金の非課税枠の拡大」や「土地税制に関する税率引き下げ」等が行われるが、これらの減税の恩恵を受ける個人は、ある程度限られるため、全体的には増税型の改正となることは否めないであろう。
  また、2003年12月25日に内閣府より、家計の可処分所得に占める貯蓄割合いわゆる「家計貯蓄率」が、6.2%(前年対比0.3ポイント減)となり、1955年以降で過去最低となったことが発表された。加えて、年金制度改正にともなう2004年10月からの年金保険料の引き上げなども実施されるため、個人にとってはより一層の可処分所得の減少および貯蓄率の低下が予想される。
  このような厳しい環境の中、顧客からは、資産運用・生命保険・損害保険・住宅ローン・年金などのトータルアドバイスいわゆるファイナンシャル・プランニング・アドバイスが今後一層求められることになるのは間違いない。
(注)
上記税制改正に関する内容は、あくまで2004年度税制大綱をもとに作成しているため、今後変更される可能性があります。
2004.01.05
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